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円安でも輸出が伸びないのはなぜ? ── 途上国ではない日本の製造業

2014/11/5(水) 7:00配信

THE PAGE

 日銀による突然の追加緩和策の発表で、為替市場では急激な円安が進んでいます。円安は日本経済にとってメリットが大きいといわれてきましたが、最近になって円安になっても輸出が増えず、これ以上の円安は好ましくないという声も聞かれるようになってきました。円安は輸出増加に貢献していないのでしょうか。

 日本はここ2年で1ドル=80円から1ドル=113円まで一気に円安が進みました。円安によって見かけ上の日本の輸出額は確かに増えたのですが、数量ベースの輸出量はほとんど増えていません。

 かつての日本の製造業は、外国から原材料を輸入し、加工して最終製品を作り、再び外国に輸出するというビジネスモデルでした。円安になれば、外国に売る製品の日本円での価格は上昇しますし、逆に日本円での売上げを同じにすれば値下げも実現できたわけです。現地価格で値下げをすれば、より多くの製品を輸出することができ、コストが下がって利益も増えることになります。国内の生産設備も増強されますから、多くの国民に恩恵が及ぶわけです。

 ところがこのところの円安では、そのような状況になりませんでした。日本企業は円安になっても、製品価格を引き下げておらず、その分、輸出の数量も増えていません。一方、輸入商材の価格はどんどん値上がりしていますから、国民の生活実感は苦しくなっているわけです。

 では日本企業は、なぜ、円安になっても製品価格を下げず、輸出数量を増やさないのでしょうか。ひとつには、日本企業のビジネスモデルの変化があります。日本の製造業の多くは、すでに工場を海外に移転しており、そもそも以前ほど輸出をしていません。例えば、トヨタ自動車は、すでに全生産台数の半分以上を海外で生産しています。日本からの輸出量そのものが減っていますから、円安になっても輸出数量は増えないわけです。

 もうひとつは、製造業の付加価値の問題です。日本の製造業は途上国のように付加価値の低い製品を作っているわけではありません。付加価値が高く、国際的なシェアが高い製品は、値下げをしたところで販売数量が増えることはないのです。

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最終更新:2015/10/20(火) 4:57
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