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背水の陣とも言われた日銀の追加緩和、その覚悟と弊害は?

2014/11/6(木) 7:00配信

THE PAGE

 日銀は10月31日、大方の予想を裏切り、追加緩和の実施に踏み切りました。ほとんどの市場関係者がこのタイミングでの緩和を予想していませんでしたから、為替市場では一気に円安が進み、株式市場では7年ぶりに、一時1万7000円台を突破する事態となりました。サプライズという意味ではまさに大成功だったのですが、一方で追加緩和の弊害を指摘する声も聞かれます。追加緩和にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

短期的なデメリット

 短期的なデメリットとしては、追加緩和というカードを切ってしまったことで、日銀にはこれ以上の手段が残されていないことが明確になってしまったという点があげられます。追加緩和を行う前は、追加緩和があるのかないのかを含めて、市場には様々な憶測が飛び交います。日銀側はこれをうまく利用して、実際には何もしていないのに、追加緩和を実施した場合と同じような効果を得ることも可能だったわけです。しかし本当に実施してしまうと、こうした心理作戦は使えないことになります。一部報道で「背水の陣」などと表現されているのはそのためです。

 日銀の責任問題が浮上しやすくなるというのも短期的なデメリットのひとつです。追加緩和を行っても物価目標が実現できなかった場合、日銀に対する責任問題が出てくる可能性があります。そうならなかったとしても、さらなる追加緩和を市場から求められることは十分に考えられ、そうなってしまうと対応が常に後手に回ってしまいます。

中期的なデメリット

 中期的なデメリットとしては、出口戦略への対応があります。量的緩和策は市場から国債などを買い入れ、市中にマネーを供給するというものです。しかし、この政策をいつまでも続けるわけにはいきません。米国は10月に量的緩和の終了を決定していますが、日銀もいつかはこの政策をストップし、正常な状態に戻す必要があります(これを出口戦略と呼びます)。米国経済は見事な回復を見せましたが、追加緩和を続けても日本経済が回復しなかった場合、いつまでたっても量的緩和策がやめられないというジレンマに陥る可能性があるわけです。

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最終更新:2016/1/23(土) 4:17
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