ここから本文です

地方創生動き出す ── 出生率1.8で人口減少は食い止められるか

2014/11/13(木) 7:00配信

THE PAGE

 安倍政権が掲げる主要テーマのひとつである「地方創生」の具体策が徐々に動き始めました。政府はこのほど「まち・ひと・しごと創生本部」において有識者会議を開き、人口減少対策の長期ビジョンの骨子をまとめました。人口の維持は地方創生の中核となる考え方なのですが、はたしてどれほどの効果があるのでしょうか。

 現在、日本の人口は約1億2700万人ですが、今後、急激に減少することが予想されています。有識者会議で示された骨子によると、このままでは2060年の総人口は8674万人まで減少し、2110年には5000万人を切るとしています。

 人口の減少は需要の低迷などマクロ経済に大きな影響を及ぼしますが、それ以上に懸念されているのが、地域経済の維持可能性です。東京ではまだ老年人口が増加している段階ですが、地方では若年人口の減少に加えて、老年人口の減少も始まっています。このままでは地方の人口減少が一気に加速する可能性があります。2050年には6割以上の地域で人口が半分以下に減少し、2割の地域で無居住化するという推計もあります。

 こうした状況を打開するため、長期ビジョンの骨子では、50年後に1億人の人口を維持することが目標として掲げられました。しかしこの目標を達成するのはかなり困難といわれています。

 骨子では、現在1.4程度しかない出生率を1.8程度に上昇させることで人口減少に歯止めをかけるとしています。しかし、出生率1.8では1億人の人口維持は難しく、目標を達成するには出生率を2.0程度まで上げる必要があるとされています。しかし、現在の日本で出生率2.0を達成するのは現実的ではありません。

 若い世代は結婚に対する意識が高く、潜在的には2人以上の子どもを持ちたいと希望しています。しかし第二子までの追加出産意欲は高いのですが、第三子以降になると、それほどでもなくなります。その主な理由は経済的負担の大きさです。一方、もともと子どもを欲しがらない夫婦が、政府の働きかけで出産を希望するようになる可能性は低いため、全体の出生率を2.0まで引き上げるのは難しいわけです。

 骨子ではOECD各国の実績をふまえて1.8という数字を設定しています。とりあえず1億人という目標の維持は困難でも、可能な範囲で人口減少を食い止めようという趣旨です。

 このほか骨子には、東京から地方への移住を促進し、地方からの人口流出を抑制する方針も盛り込まれました。ただ、人口減少社会では、都市部への人の集中は避けられないとの指摘もあり、果たして本当に人の移動を抑制できるのか不透明な部分もあります。

 実現可能性はともかくとして、具体的な目標値が出てきたことは、今後の議論に弾みをつける効果があります。地方創生は国民共通の課題ですから、もっと幅広い議論が必要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/20(日) 3:19
THE PAGE