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「アベノミクス」「8%引き上げ」解散総選挙の争点と大義は 早稲田塾講師・坂東太郎のよくわかる時事用語

2014/11/18(火) 20:15配信

THE PAGE

 安倍晋三首相は18日夜に会見し、衆議院を21日に解散することを表明しました。合わせて2015年10月と法律で決まっている消費税再引き上げ(8%から10%)を1年半先送りするとし、「税制は国民生活に密接に関係している。経済政策にも賛否両論ある。それらを進めるためにも国民の声を聞く必要があると判断した」と解散総選挙を行う理由を説明しました。

「10%」先送りは争点になるのか

 法律には附則で時の政府が、「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」とあります。3か月に1度発表される実質国内総生産(GDP)という物差しが「経済状況等を総合的に勘案」する重要な根拠とみられています。「実質」とは物価の上下の影響を除いた数値で、GDPはおおまかにいえば国内生産の「もうけ」の合計です。

 増税後の4-6月期は年率-7.1%(改定値)。これは「反動減」で説明がつくも、7-9月期も前期に比べ-0.4%(速報値)、年率でマイナス1.6%(同)とわかりました。「反動減」以降も悪化していたとなります。

 首相としてはその事実をも「勘案し」て「所要の措置」つまり再引き上げの先送りを決める。法律の変更ですから法改正が必要になり、かつ国民生活に直結するから信を問うため解散するとの論法のようです。

 ところがこの訴えに対して野党(首相の味方以外)や一部与党(首相の味方)まで「大義がない」と反発の声が上がっています。なぜならば主要野党もまた10%への引き上げを凍結または先送りすると主張しているからです。仮に選挙の争点が「先送りの是非」であれば「是」側は与野党どちらに投票してもよく「非」側は投票先がほぼありません。

そもそも選挙をする必要があるのか

 そもそも選挙をする必要があるのかという批判も加わります。「所要の措置を講ずる」のは政府だと法に定められており「先送り」との「措置」を決めても構わないわけで、法改正も今の勢力で行えばいいだけです。「国民生活に直結」するならば予定通り8%に引き上げた安倍首相の判断もまた「国民生活に直結」しています。

 7-9月期の前期比マイナスというのは市場でも予想外でした。さすがに「反動減」に比べれば微増はするだろうとの見立てが大半だったのです。まさか谷底の続きが谷底とは……。こうなると「先送り」よりも8%への引き上げを決めた判断の方が争点になるかもしれません。元々消費増税は首相最大の売りであるアベノミクス(アベによるエコノミクス=経済政策)の障害だという疑問が始まる前からかなりありました。政府は反動減の後に回復すると反論していましたが、もろくも崩れ去った形です。GDP値は内閣府が発表するので一部から「政権の都合のいいように出してくる」との疑いもありました。仮にそうであったにせよ結果はマイナス。要するによほど悪いのです。

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最終更新:2015/11/26(木) 4:18
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