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日本人のIRとの付き合い方は? ── IRマネジメントコース新設の大商大大学院・谷岡学長に聞く

2014/11/19(水) 15:00配信

THE PAGE

 IR論議が高まる中、大阪商業大学(大阪府東大阪市)が来春、日本で初めて大学院に「IRマネジメント」コースを開設する。IRとは統合型リゾート「Integrated Resort」の略称で、カジノをはじめ、ホテル、国際会議場、商業施設、アミューズメントパークなどを含んだ複合型観光施設を示す。観光客誘致や地域活性化の切り札として脚光を浴びる半面、日本の現行法制度ではカジノは違法とされているため、国内でのIR実現にはカジノの法制化が欠かせない。カジノ研究の先駆者でもある谷岡一郎学長に「IRマネジメント」コース設立の狙い、IR人材の育成方法、日本人のIRとの付き合い方などを聞いた。

IR全体を見渡せる管理職を要請

 ──今なぜ大学院で「IRマネジメント」コースなのか。

 IRを運営できる中間管理職以上の人材が、日本にはほとんどいない。IRは特別な法律や会計基準のもとに運営され、提供するサービスが多岐におよぶため、IR全体を把握するのは容易ではない。
そうした法律や会計基準に対応できる能力を持ち、IR全体を見据えたうえで、それぞれホテルのマネジメントを担当したり、カジノのフロアマネジャーをこなせる人材を、育成しなければいけない。

 一方、IRを監督する地方自治体にも、IRに精通した人材が必要だ。IRオペレーターとの交渉の窓口となり、IRの安定運営のため、きちんと渡り合える能力が求められる。
 すでに法律や会計の専門家はいるが、IRに関する知識や経験は持ち合わせていない。複数のIRが開設される時代が早晩訪れる。IRマネジメントをしっかり習得したビジネスリーダーの育成が社会的要請であると判断し、大学院で専門コースの開設を決めた。

やんわりとレストランへ誘う

 ──カジノの本場アメリカではどんな人材育成が行われているのか。
 
 ラスベガスでは、カジノの従業員がキャリアアップのために、地元のUNLV(ネバダ州立大学ラスベガス校)などで、学び直すことが定着している。カジノテーブル5、6台を監視する人材を「ピットボス」と呼ぶ。日本の職場でいえば係長クラスだ。このクラスの人たちが、大学や大学院でIR関連の講座を受講した後、職場に戻ってスロットマシン全体のボスなどに出世していく。キャリアアップ教育はカジノ部門だけにとどまらず、ホテル、コンベンション、エンターテインメント部門など、IRのさまざまな部門で実施されている。IRは多くの人材で運営されるため、教育がきわめて大事だ。

 ──カジノ部門の管理職に要求される能力とは。

 カジノマネジャーは、ギャンブル依存症の人を見つけ出す役割も果たさなければいけない。そうした人を見つけた場合、正しい方向へ誘導できる力量がなければ、フロアマネジャークラスは務まらない。
 たとえば、スロットマシンに300ドル注ぎ込んで負けてしまったにもかかわらず、熱くなって財布からお金を出そうとしている利用客がいたら、どうするか。フロアマネジャーがさりげなく近づき、「上階のレストランで新しいメニューを始めました。無料券を贈呈しますから、試食して感想を聞かせていただけませんか」と誘導する。本人のプライドを傷つけることなく、カジノから離れさせ、ひと息つかせる。訓練を受けた専門家なら、こうした対応が可能です。

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最終更新:2014/11/19(水) 15:00
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