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解散のスローガン「代表なくして課税なし」ってどんな意味?

2014/11/27(木) 14:00配信

THE PAGE

「代表なくして課税なし」。安倍首相が衆議院の解散において掲げたスローガンのひとつなのですが、ネットを中心に「今ひとつ意味が分からない」と話題になっています。「代表なくして課税なし」とは本来どういう意味なのでしょうか。

もともとは米独立戦争におけるスローガン

 この言葉は、安倍首相が記者会見で述べているように、米国の独立戦争におけるスローガンです。当時、米国は英国の植民地でしたが、英国議会に代表を送ることはできず、一方的に税金だけが課されていました。自分たちからも代表を送るべきだという運動のスローガンがこの「代表なくして課税なし」だったわけです。

 しかし、米国内の運動は激しさを増し、植民地として代表を議会に送るのではなく、新しい国として独立すべきだという急進的な世論が盛り上がり、米国は一気に独立へと傾き始めます。最終的にこのスローガンは、独立戦争を象徴する言葉となったわけです。

 安倍首相は、消費増税延期という重大な決断をした以上、国民に信を問わなければならないという文脈の中で、この「代表なくして課税なし」という言葉を使っています。雰囲気的には何となく分かる気もするのですが、よく考えてみると確かに意味不明ではあります。

歴史的にみて大義があることを強調か?

 税金だけが課され、国政に対して何の権利もなかった植民地アメリカの人々が、民主主義を求めて立ち上がり、やがては独立戦争に突き進んだスローガンですから、消費税の延期について、選挙で国民に信を問うという話とは直接関係しません。ネットだけでなく、メディアにおいても識者の一部からは意味がよく分からないという指摘が出たほか、わざわざ他国の例を引き合いに出すのはどうかという意見もあったようです。

 これ以外にも安倍首相は、映画を題材にした海外のスピーチや、国内で行った法の支配に関する演説などにおいて、しばしばその真意がよく分からない表現を用いることがあります。

 安倍首相としては、厳密な言葉の解釈というよりも、今回の解散には歴史的にみて大義があるということを強調したかったのだと思われます。他のスピーチでもそれは同様でしょう。その意味では、米国の独立戦争という多くの人が知る歴史的キーワードをもとに、印象に残る話をするというのはひとつのやり方なのかもしれません。

 安倍首相にはジャーナリスト出身のスピーチライターが付いていることで知られています。今回の発言がスピーチライターの手によるものなのかは分かりませんが、少なくとも以前の首相に比べると、発言そのものが話題になる機会が多いということだけは間違いないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/11/2(月) 4:49
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