ここから本文です

山形をJ1昇格させた「フィジテク」

2014/12/8(月) 5:00配信

THE PAGE

 試合後の取材エリアとなるミックスゾーン。林は万感の思いを込めながら、石崎監督が掲げるハードワークというキーワードと向き合ってきた日々を振り返っている。
「試合のほうが楽だと思えますからね。腐らず真摯に取り組んできたからこそ、90分間プレーできた。これからのサッカー人生でも、いい教訓になると思う。チームの雰囲気もいい意味でリラックスしていて、『オレたち、いけるぞ』という感じになってきた。プロの選手がそこまでハードワークを言われることはないと思うけど、だからこそ練習で常に意識しながらやってきた」

 シーズンも終わりに差しかかった頃に、石崎監督のもとへ一本の電話がかかってきた。38歳での現役引退を決めたV・ファーレン長崎のMF佐藤由紀彦が、感謝の思いを伝えてきたのだ。プロ4年目だった1998年に、佐藤はモンテディオで石崎が課すフィジテクを毎日のように経験していた。
「自分がこの年までプレーできたのも、若い頃に鍛えられたおかげですって言ってきてね。まあ、やるかやらないかは選手次第ですからね」

 歩んできた道を信じて疑わない指揮官と、J2の上位戦線にすら食い込めない現状をなかなか受け入れられない選手たち。1年前に火ぶたを切った真剣勝負の軍配は、今シーズンのリーグ戦で1分け1敗だったジェフにハードワークで対抗し、前半37分にFW山崎雅人があげた千金のゴールを守り切る結果とともに前者にあがった。
 小林伸二(徳島ヴォルティス)、反町康治(松本山雅FC)両監督に続いて、3チームを昇格させた史上3人目の指揮官となった石崎監督が力を込める。
「J2に落ちたことはもちろん辛い。でも、落ちたということは何らかの問題があるわけで、違う目で見ればチームを変えるチャンスとなる。J1を戦っていては、なかなか変えられない。J2だからこそできることがたくさんある。そこでしっかりとベースを作って、J1へ上がればガンバのようにもなれるわけですから」

 もちろん、J1昇格切符を獲得することがゴールではない。ジェフ戦ではカウンター狙いを徹底していたが、青写真通りに攻撃が機能するシーンは少なかった。J1の舞台に定着し、新たな歴史を刻んでいくためには乗り越えるべきハードルがまだまだ多い。
「偉そうなことを言うようだけど、サッカーの本当のよさは頑張る、あるいは戦うといった部分で見ている人を感動させられる点にあると思う。もっとも、守るだけではJ1では勝てない。そこをコツコツと頑張っていかないと、来年は大変な年になる。その前にもうひとつですね。ガンバが相手ですからね。楽しみですよ」

 13日には、天皇杯で2冠王、ガンバと対決する(日産スタジアム)。取り囲むメディアを爆笑の渦に巻き込んだ石崎監督の表情は、その大一番でさらなる驚きを与えたいと語っていた。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

3/3ページ

最終更新:2016/1/17(日) 4:05
THE PAGE

スポーツナビ サッカー情報