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物価は上がっているの? デフレから脱却できているの?

2014/12/8(月) 7:00配信

THE PAGE

 国内景気の失速懸念が高まる中、安倍政権は消費増税の延期を決定し、衆議院を解散しました。今回の選挙はアベノミクスそのものを問う選挙となったわけですが、デフレ脱却の是非について問う選挙でもあると考えてよいでしょう。日本はデフレから脱却できているのでしょうか。

 デフレ脱却においてもっとも重要な指標となるのは消費者物価指数です。総務省は2014年11月28日、10月の消費者物価指数を発表しました。代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」は前年同月比でプラス2.9%となっています。政府では物価上昇が続いているとしていますが、消費者物価指数を見る場合には少し注意が必要です。それは上昇幅がどう変化しているのかという点と、消費税の影響です。

 アベノミクスの実施後、確実に物価は上昇していますが、このところ物価上昇のペースは鈍化が目立っています。7月はプラス3.3%、8月はプラス3.1% 9月はプラス3.0%でしたから、月を追うごとに上昇率が低くなっているのが分かります。この数字には消費税の増税分が含まれているのですが、消費者の感覚からすると、消費税の増税でデフレ脱却といわれてもピンときません。日銀は2年で2%という物価目標を掲げていますが、これについては消費増税分を差し引いた形で評価されます。日銀では消費税による物価上昇は2%とみていますから、10月の物価上昇率は2.9%から2.0%を引いて0.9%ということになるわけです。

 実質的な物価上昇率が1%を切っているということは、客観的に見てデフレ脱却が順調に進んでいるとは言えないでしょう。日銀が追加緩和に踏み切ったのは、何としても2%の物価目標を達成したいと考えているからです。

 低調となったGDPが急に改善する可能性は低いですから、今後の物価は、量的緩和策による円安の効果と原油価格に大きく依存することになります。

 日銀は、結果的に円安が生じているというスタンスですが、追加緩和が円安を意図して行われていることはほぼ間違いありません。米国経済は順調で来年には利上げが予定されていますから、これはドル高要因となります。ドル高要因と円安要因が重なりますから、追加緩和によって円安ドル高が加速する可能性は高いと考えられます。円安が進めば、その分、輸入物価は上昇し、デフレ脱却が進むことになるでしょう。

 一方、原油価格の下落はこれを相殺する方向に働きます。原油安をうまく消費の拡大につなげられれば、経済が成長し物価上昇のエンジンとなるかもしれません。しかし、そのメカニズムがうまく働かない場合、さらなる追加緩和が要求されるという事態に陥る可能性もあります。

 デフレ脱却ついて評価する場合には、円安と原油安が日本経済の成長につながるのかが重要なポイントとなりそうです。また物価の上昇が生活実感の向上につながっているのかもよく考える必要があるでしょう。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/2/8(日) 4:05
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