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米国防長官、ヘーゲル氏辞任とカーター氏指名の背景は?

2014/12/8(月) 12:00配信

THE PAGE

 オバマ米大統領は2014年12月5日、辞任が決まっているヘーゲル国防長官の後任に、前国防副長官のアシュトン・カーター氏を指名しました。カーター氏は副長官としてヘーゲル氏の下で働いていた人物なのですが、ヘーゲル氏の辞任とカーター氏の指名にはどのような背景があるのでしょうか。

 オバマ政権を象徴する国防長官であったヘーゲル氏が辞任することになったのは、ホワイトハウスと国防総省の対立が原因といわれています。オバマ政権は、従来から続く米国の基本的な安全保障政策を大きく転換し、世界の紛争にはできるだけ関与しない方針を掲げてきました。このため中東から軍事力をアジア太平洋地域に再配分するという、いわゆる「リバランス戦略」を進めています。同時に、国防予算を大幅に削減することで、米国の財政赤字を一気に改善しようとしています。この改革のキーパーソンだったのがヘーゲル氏であり、ヘーゲル氏はオバマ氏の意向を受け、今後10年間で50兆円という米国の歴史上最大規模の軍縮プランを策定したばかりです。

 ヘーゲル氏は、国防長官に就任するまでは、何と共和党の大物上院議員でした。オバマ政権の安全保障政策チームの中で唯一の共和党員です。軍人出身ですが、イラク戦争やイラン制裁に反対したり、イスラエルに対して批判的な発言を行うなど、安全保障面で独自の見解を持っていました。オバマ大統領と個人的に親しく、ビジネス界での経験も豊富で、まさにオバマ大統領が目指す、超党派の政策遂行にはもってこいの人物だったわけです。

 当初は順調に見えたヘーゲル氏ですが、シリア問題をめぐってホワイトハウスと溝ができてしまったといわれています。オバマ大統領は、当初の方針通り、シリア問題には干渉しないという方針を表明しましたが、軍や世論の一部は人道上の問題から、積極的な関与を主張していました。国防総省は地上軍の投入も含めたプランを提出したものの、大統領補佐官で安全保障問題の責任者であるライス氏がこれを拒否。ライス氏の進言で一方的に限定空爆のプランが決まったことで、ヘーゲル氏が不審感を強めたと報道されています。

 ヘーゲル氏は、事実上の更迭とみなされており、オバマ政権はあくまでも、ホワイトハウス主導で、安全保障政策を進める意向と考えられます。

 後任に指名されたカーター氏は、クリントン政権下で国防次官補を務め、オバマ政権では国防次官に就任。2011年に国防副長官に昇進しています。国防総省での経験が長く、省内に精通していますから、ヘーゲル氏からの引き継ぎや長官就任後の人事の掌握は容易と考えられます。ただカーター氏は実務官僚であり、上院議員出身のヘーゲル氏と比べると、軽量級人材というイメージは避けられません。ホワイトハウスはヘーゲル氏と比較して、コントロールしやすい人物と見たのかもしれませんが、逆に、国防総省側に主導権が移ってしまう可能性もあります。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/9/18(金) 4:51
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