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〈総選挙 私はこう見る〉「仕組まれた選挙だから、その後を考える」 吉田徹

2014/12/11(木) 12:08配信

THE PAGE

 今回の選挙は何のためにあるのか。

 政権与党は「消費税引上げの時期を先延ばしすること」についての信を問うという。

 ただ、これは有権者の投票のための判断材料にはならない。増税の是非が問われるならともかく、増税の先延ばしが問われても、少なくとも、先延ばしによる経済的な損益や財政上の見通しとともに提示されない限り、有権者は延期の是非を判断しようがない。

 しかも、ほとんどの野党は消費税を引き上げることについては反対していないから、増税延期は争点とはなり得ない(そもそも増税は民自公の三党合意で決められたものだ)。

 政権担当能力を示したい政党であれば、持続可能な社会保障制度をいかに作るか、グローバル経済にどう参画するかについて、有権者に示しうる選択肢はさほどない。そうすると、今回の選挙では、消費税とTPPに対する攻守が民主党と自民党とで入れ替わったように、争点はそれが重要なものであればあるほど、各党が選挙戦を有利に運ぶための道具へと化していくという、笑うに笑えない様相を呈す。

 争点を重視するのではなく、安倍政権のこれまでの実績を評価し、現状肯定なら与党に、現状変更なら野党に投票する、という方法もあるだろう。しかしこれも、少なくともアベノミクスを評価対象とした場合、判断基準とするのは難しい。アベノミクスがインフレ期待に依存する政策であることに象徴されるが、そもそも安倍政権は人々の期待値を時間軸上に散りばめることを政権維持の本質としている(際限なく循環する「矢」の順番の比喩がまさにそうである)。現状変更にはリスクが伴うから(しかも現状変更すること=政権交代は『失敗』だったとの記憶が新しいから)、確実でないことについて争うのであれば、政権の座にある与党が有利になる。

 さらに、これまでの内閣支持率や野党の分裂状況、予想される投票率なども勘案すれば、かくして今回の選挙は「フェイクな争点」による「仕組まれた選挙」の様相を呈している。その選挙に敢えて意味を求めようとすれば、有権者は結果的に無力感を感じることになるか、選挙での勝利が民意の表出だと解されることになりかねない。

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最終更新:2015/6/16(火) 3:45
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