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消費税の軽減税率、事業主が抱える管理コストってどういうものか?

2014/12/12(金) 7:00配信

THE PAGE

 安倍政権は消費税の増税延期を決断しましたが、実際に延期となった場合、増税実施のタイミングにおいて軽減税率が導入される可能性が高まってきました。生活必需品が買いやすくなるため、消費者の多くは歓迎しているようですが、事務コストの負担が増える事業者の中からは反対の声も上がっています。軽減税率が導入された場合、事業者の事務負担はどの程度増えることになるのでしょうか。

 今のところ消費税率は一律ですから、品目ごとに税金の額を管理する必要はありません。最終的な売上げの金額が分かれば、自動的に税金と本体価格を分離することができるからです。しかし軽減税率が適用された場合、品目ごとに税率が異なりますから、税金の額を個別に計算する必要が出てきます。

 システムを使って会計を管理している会社であれば、システムにその機能を付け加えるだけですから、それほど手間のかかる話ではありません。しかし、経営が思わしくない事業者の中には、システムの機能改修費用を捻出することが難しいところもあります。また中小零細企業や個人事業主の約半数が、システムではなく手書きで伝票などの処理を行っているともいわれており、こうした事業者の負担はかなり大きいと考えられます。

 消費税の先進国である欧州では、与党が検討しているものよりもはるかに複雑な軽減税率が導入されています。同じ食品でも温めた場合とそうでない場合には税率が異なることまであるそうです。

 また消費税を確実に捕捉するため、欧州ではインボイス方式と呼ばれる制度が併せて導入されています。これは、事業者がそれぞれ固有の事業者番号を取得し、請求書やレシートなどの書類にこの番号とともに、品目別の金額と税率を記載することが義務付けられるというものです。

 インボイス方式の導入時にはかなりの混乱が生じ、煩雑な事務手続きに今でも不満の声が上がっているようですが、品目別の税金管理は現実に行われています。日本よりもシステム化が進んでいる可能性は高いですが、日本において実現不可能というわけではありません。

 ただ日本の場合、財務諸表作成の必要がない白色申告制度や、簡易的な消費税納入制度など、事業者の事務負担を軽減する制度の存在によって何とか事業を維持している零細事業者が多いというのも事実です。事務負担に耐えられない事業者は、本来であれば、市場メカニズムで淘汰されてしまうわけですが、一種の支援策が存在することで事業が維持されている面があります。こうした零細事業者は地域経済の一部となっており、急激な改革を行えばやはり混乱が生じることになるでしょう。

 軽減税率導入時にどのような経理処理をするのかに関する議論はこれからです。軽減税率の導入そのものについてはコンセンサスが得られたとしても、具体的な方法を決めるにあたっては紆余曲折が予想されます。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/15(金) 4:38
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