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自動車事故で「死なない」ための基本と最新技術

2014/12/14(日) 17:00配信

THE PAGE

 クルマがぶつかった時、「ステアリングやダッシュボードに手を突っ張れば大丈夫」と思っていないだろうか? 最初に断っておくが、そんなことは絶対ない。

 ちょっと想像してみて欲しい。その場で立ちあがって直立状態から床へパタンと倒れた時、腕で自分の体重をきちんと支え切れるだろうか? 普段から体を鍛えているアスリート系の人ならできるかもしれないが、それでも片手で余裕と言うわけはないだろう。

 ちなみに直立から前へ倒れた時の速度をざっと計算してみよう。体重を支える腕の高さを地面から1.5メートルと考えて、地面に達する瞬間の速度はほぼ時速20キロだ。

 普段クルマは何キロで走っているだろうか? 衝撃は時速40キロなら倍 …… は甘い、運動エネルギーは速度の2乗に比例する。床に倒れた時の衝撃に対して、時速40キロで4倍、60キロなら9倍になる。支えられるわけがないのだ。

シートベルトは安全の基本

 事故の際、手足で突っ張って身体を支えられないとどうなるか、身体は前方に投げ出され、ステアリングやフロントガラスに頭か胸を打ちつける。だから、事故で損傷を受けて死亡することが一番多いのは頭部、次いで胸部である。自動車事故でのリスクを減らすなら一番最初に考えなければならないのは頭部と胸部を守ることである。

 シートベルトはそのための装備だ。身体を拘束することによって、事故の衝撃で身体が前方に投げ出され、ステアリングなどに強く打ちつけられることを防ぐ役割をする。

 しかし、人体は非常に脆弱で、それだけの加速度に対する拘束に耐えられる部位がほとんどない。腹部を拘束すれば内臓が破裂するし、胸部なら肋骨が折れる。首はもっての外だし、肩や頭も危険な上に拘束したら運転ができない。現実的に拘束できる場所は骨盤一択なのだ。だから普通のクルマに付いている3点式シートベルトの主役は腰骨に掛る部分だ。

 骨盤の固定を十分にして、初めて肩ベルトが補助的効果を上げる。骨盤の固定が不十分で、衝撃の多くを鎖骨で受けたら大変なことになる。何しろ骨盤が固定できていても、鎖骨が折れてしまうことは頻繁にある。これはレース用の4~6点式のシートベルトでも同じだ。鎖骨は衝突の衝撃を受け止めるだけの強度がない。だから何としても体重の多くは骨盤で支えたい。

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最終更新:2016/2/8(月) 3:44
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