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「集団的自衛権と原発が争点にならなかった理由」 政治学者の内山融、竹中治堅、高安健将が討論(2)

2014/12/19(金) 10:11配信

THE PAGE

<THE PAGE 生トーク>衆議院総選挙 国民は何を選択したのか? 政治学者が徹底討論

 THE PAGEが放送した「<THE PAGE 生トーク>衆議院総選挙 国民は何を選択したのか? 政治学者が徹底討論」。出演は、内山融・東京大学大学院総合文化研究科教授、竹中治堅・政策研究大学院大学教授、高安健将・成蹊大学法学部教授、萱野稔人・津田塾大学教授ら。

 以下、「集団的自衛権と原発が争点にならなかった理由」について語った討論の一部を紹介します。

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〈以下、一部書き起こし〉

萱野稔人:選挙の争点は何だったのか。

内山融:安倍さんの巧いところは、まさに、経済成長をアベノミクスとして争点化したところだ。経済成長は皆がハッピーになることなので、それ自体は争点にはなりにくい。政治学的に言えば、「キャッチ・オール (Catch-all)」、皆を取り込むことができるイシューであった。アベノミクスの核は金融政策だが、それに対し、野党は、とくに民主党は、穏健な金融政策という形で対抗したが、正直、よくわからない内容で、争点になっていなかった。

高安健将:アベノミクスには、実際は、得をした人、しない人がいた。金融緩和、財政政策、規制緩和、すべてそうだ。カジノや残業代ゼロ法案だってそう。争点にはなりうる。政権は、得をしなかった人には、「これからだよ」と言ったが、野党は、そこを攻められなかった。有権者は、「この野党は、私たちのことを代表してくれている。私のことを言っている」という感覚は持てなかっただろう。そこに問題があった。

竹中治堅:アベノミクスの3本目の矢、成長戦略は批判できたのではないか。民主党や維新の党は、もう少しできたはずだ。

萱野:アベノミクス以外の争点はどうか。原発や集団的自衛権は、なぜ、争点にならなかったのか。

内山:野党の責任だろう。現実性のある、一貫した対案を出せなかった。野党はバラバラだ。同じ民主党の中でも原発、集団的自衛権についてはさまざまな意見がある。有権者が、具体的、現実的なイメージを持てない。

萱野:都知事選では、首相経験者がタッグをくんで脱原発を訴えても勝てなかった。争点として成立しないのでは。

高安:選挙戦で重要なのは、争点を誰がどのように設定するのか、という問題だ。争点をアベノミクスに集中させて他を議論しないのは、与野党の共犯関係とも言える。イギリスでは、選挙の運動期間が4週間ぐらいと長い。すると、一つの政策だけでは議論が持たない。だから、1週目は経済、2週目は安全保障、3週目は治安などと、違うテーマを議論する。有権者もメディアも、このテーマでは与党の勝ちだ、いや野党だと、検証していくことになる。日本の選挙期間の長さでは、それはできない。

内山:集団的自衛権をめぐる憲法解釈の正当性もそうだが、今回の選挙で、有権者の信任を受けたと言うのは難しい。勝利が政権の安定に資するとも言えるが、白紙委任に近い。選挙以外のチャネルも含めて、政権と有権者がコミュニケーション、熟議をしていかないと、民主政にとって、良い状態とは言えないだろう。

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討論のすべては、動画でご覧下さい。

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最終更新:2016/4/4(月) 15:38
THE PAGE