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生活困窮者自立支援と生活保護、それぞれの課題は?

2014/12/21(日) 7:00配信

THE PAGE

 来年4月から生活困窮者自立支援法が施行となります。生活保護ではカバーできない困窮者を支援するための法律なのですが、これはどのようなものなのでしょうか。

捕捉率が低い生活保護

 日本のセーフティネットの基礎となっているのは生活保護なのですが、生活保護の制度には、捕捉率が低いという課題があります。生活保護の受給者数は約220万人、受給世帯数は160万世帯ですが、一方で厚生労働省がまとめた日本の相対的貧困率は約16%です。日本の世帯数は約5200万世帯ですから、貧困率が16%だとすると約832万世帯が貧困状態にあると考えられます。そうなってくると、貧困世帯のうち生活保護を受給できているのは、約20%に過ぎないという計算になるわけです。

 生活保護については財政的な問題もあり、基本的に給付を抑制する方向で改革が進められています。今年の7月に施行された改正生活保護法では、窓口での申請書提出の原則義務付けや、親族や雇い主に対する調査権限の強化などが盛り込まれており、保護を受けるハードルが従来に比べて格段に高くなっています。

生活困窮者自立支援法とは?

 このままでは支援の対象とならない生活困窮者が増加することから、それに対応するために作られたのが、生活困窮者自立支援法となります。

 この法律は、生活困窮者の自立を支援するためのものです。福祉事務所を設置している自治体は、自立相談支援事業を行うことになっており、生活困窮者がワンストップで相談できる窓口が設置されます。また、生活困窮者が就労できるよう各種支援を実施します。失業などにより一時的に住む家を確保できない人のために、家賃を補助する制度も盛り込まれました。

 働く意思はあるものの、その機会を見つけることができず、貧困状態から抜け出せなかった人には、効果のある施策といえるかもしれません。一方で、内容が就労支援に偏っていることについて危惧する声も上がっているようです。

就業が難しい人はカバーできない恐れも

 日本では、仕事がない一人親世帯の貧困率は50%を超えているのですが、仕事がある一人親世帯の貧困率もやはり50.9%とほぼ同じ水準です。労働基準法が守られていれば、こうした結果にはならない可能性が高く、労働環境が劣悪な職場が多数存在することを伺わせます。仮に就労機会が得られたとしても、そういった仕事に従事してしまうと、貧困から脱出できない危険性があります。この法律を効果的に運用するためには、労働環境の整備とセットで行うことが重要です。

 また何らかの事情で就業が難しい人や世帯については、今回の法律でも十分にカバーされません。セーフティネット全般について、金額を抑制しつつも、カバーする範囲を広げると行った包括的な工夫が必要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/27(水) 4:41
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