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NISA開始1年、投資傾向に変化はあった?制度の見直しは?

2014/12/22(月) 7:00配信

THE PAGE

 投資元本が年間100万円までならば、株や株式投信の値上がり益、配当・分配金にかかる税金が5年間非課税になる制度「少額投資非課税制度(NISA)」がスタートしてから1年が経過しました。株式市場の活性化や国民の長期的な資産形成に対して効果はあったのでしょうか。

 NISAの口座数は制度が始まったばかりの1月時点では約500万口座でしたが、3月には650万口座になり、6月には727万口座に達しました。口座数そのものは順調に伸びているようです。しかし、これらの口座が積極的に投資に使われているかというと、必ずしもそうではありません。日本証券業協会の調べでは、NISAの口座を開設した投資家のうち、実際に株式や投信に投資した割合(口座稼働率)は8月末時点で33.3%と低い水準にとどまっています。7割弱の投資家が口座を開設しただけで、実際に投資には踏み切れていないわけです。

 NISA口座を開設した投資家は高齢者に偏っているという指摘があります。6月末時点における口座開設者のうち、実に75%が50歳以上の投資家です。しかも、口座の増加率は、高齢者ほど低いという傾向が見られることから、高齢者の多くは制度がスタートした当初に口座を開設したものと考えられます。一方、若年層は徐々に口座を開設していることが分かります。また投資金額における割合でも50歳以上が約8割を占めています。

 口座の稼働率や投資残高などから推測すると、1口座あたり65万円程度投資していることになります。現在の日本では基本的にお金を持っているのは高齢者ということになりますから、高齢者の多くは、すでに100万円の枠をほぼ使い切っている可能性が高いでしょう。一方、若年層は口座は開設したものの、資金がなく、なかなか投資に踏み切れないと考えられます。

 来年度の税制改正の基礎となる税制改正大綱には、NISA制度の改正が盛り込まれています。年間の非課税枠を100万円から120万円に拡大するとともに、子どもNISA(親や祖父母が未成年の子や孫の名義で投資できるようにし、年間80何円までを非課税とする)を創設します。高齢者層の投資規模を拡大させようということなのですが、既存のNISAが高齢者に偏っている現状を考えると、NISAの実績拡大には効果がありそうです。

 ただ、若年層も含め、国民全体が株式投資によって健全な資産運用を実現するという当初の目標はなかなか達成できていません。口座は開いたものの、具体的な行動に移せない投資家をその気にさせる政策が必要となるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/3/12(木) 4:49
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