ここから本文です

本社の地方移転うまく機能する?

2014/12/29(月) 7:00配信

THE PAGE

 政府は、本社機能を地方に移した企業に対して税制上の優遇措置を講じる制度の導入を検討しています。安倍政権が掲げる地方創生の一環なのですが、これはうまく機能するのでしょうか。

 地方創生について定めた「まち・ひと・しごと創生法」では、第1条に「少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正」すると記されています。つまり地方創生策というのは、地方の人口減少に歯止めをかけるための政策ということになります。

 地方の人口減少を食い止めるには、地方にとどまる人を増やすための施策に加えて、東京などの大都市から地方に移住する人を支援する施策も必要となってきます。本社機能を地方移転した企業に対する税の優遇はまさにこれを狙ったものといえるでしょう。

 具体的な制度の中身は、現在検討中ですが、大都市圏から地方に移転した企業が移転先でオフィスなどへの投資をした場合に、投資額の一定割合を法人税から差し引くといった内容になる見込みです。

 ファスナー大手のYKKは、東京から富山県に本社機能の一部移転を計画しており、この制度が実現した場合には、同社が適用の第1号になると報道されています。同社は富山県黒部市に製造拠点を持っていますが、本社機能の一部を黒部市に移転し、数百人の社員を異動させる予定です。

 YKKのような製造業は、地方に製造拠点を持っていることが多く、東京の都心に本社を構える必要性はそれほど高くありません。世界的なメーカーである米GE(ゼネラル・エレクトリック)社はコネチカット州に本社を置いていますし、マイクロソフトはワシントン州のシアトル郊外に本社を構えています。日本でもトヨタ自動車は創業当時から現在の豊田市が本社となっています。

 日本の製造業が東京に本社を置いていたのは、官庁との関係構築やブランド・イメージの向上など、どちらかというと後ろ向きな理由だったと考えられます。トヨタ自動車は本社がどこにあろうとグローバルに展開する企業ですし、YKKは、ファスナーの分野において国内で約9割、世界で5割という、驚異的なシェアを持つ高収益企業です。地方に本社を置くことができる企業は高い競争力を持っているという、これまでとは逆のブランド価値が生じてくれば、東京一極集中の是正にも弾みが付いてくるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/8(金) 4:54
THE PAGE