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どうなる2015年の賃金、2014年の大幅賃上げに続けるか?

2015/1/5(月) 7:00配信

THE PAGE

 昨年の春闘では、久々に大幅な賃上げが実現しましたが、物価上昇や消費増税の影響で国民の懐はあまり豊かになっていません。今年の賃金はどうなるのでしょうか。

 2014年の春闘における主要企業の賃上げ率は約2.2%となっており、15年ぶりの高水準となりました。企業の業績が改善していることも要因のひとつですが、安倍政権が財界に対して賃上げを強く要請した結果であることはほぼ間違いないでしょう。しかし、これまでのところ賃金は物価の上昇に追い付いていません。

 現在、日銀は2%の物価目標を掲げ、量的緩和策を実施していますし、円安によって輸入物価が上昇したことで商品価格の値上げが相次いでいます。消費税の増税も重なっていますから、国民の購買力は低下する一方です。安倍政権としては、何としても再度の賃上げを実現し、国民の生活環境が改善したことをアピールしたいところでしょう。

 政府は昨年の12月16日、経済団体、労働団体の代表らと、雇用や賃金について話し合う政労使会議を開催しました。政府は今年の春闘でも大幅な賃上げを望んでおり、会議では昨年と同様、賃金に関する合意文書がまとめられました。合意文書には、「経済界は、賃金の引き上げに向けた最大限の努力を図る」と明記されましたので、財界側もおおまかな方向性としては賃上げの実施について同意したことになります。

 しかし、企業側は基本的にはあまり賃金を上げたいと思っていません。その理由は日本企業の稼ぎ方が大きく変わってきているからです。これまでの製造業は国内で製品を作って海外に輸出するというモデルでした。しかし、ビジネス環境がグローバル化したことで、こうしたやり方が通用しなくなり、海外で現地生産を行う企業が増えてきています。

 製造業を中心に、日本企業は円安によって増収増益となっていますが、稼ぎの多くが海外での生産・販売によるものです。企業の経営者としては、収益とは直接関係しない国内の従業員の賃金を増やすよりも、利益を上げている現地社員の手当を厚くしたいと考えます。また、そうしていかないと、中長期的に現地拠点の競争力を維持することが難しくなってしまうでしょう。

 一方、海外市場の状況とは直接関係しない内需系の企業は、円安のメリットを享受することができず、大幅に賃金を上げる余裕がありません。結果として、企業の業績が向上している割には、賃上げに結びついてこないのです。

 継続的に賃上げを実施していくには、国内で稼げる分野に人材をシフトしていく必要があります。賃上げをその場限りで終わらせないためには、労働市場改革を推進していくことがより重要となるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/9/16(水) 4:41
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