ここから本文です

税制改正で子や孫への資産移転が活発化か ── ますます格差が広がる恐れも

2015/1/10(土) 7:00配信

THE PAGE

 今年度の税制改正によって、親から子や孫への資産移転が活発化することになるかもしれません。一方で、親から資産を受け継ぐことができた人、そうでない人との格差が拡大する可能性があります。

 自民、公明両党は昨年末、2015年度税制改正大綱を決定しました。税制改正大綱では、法人税を含め、あらゆる分野の税制改正案が提示されるのですが、個人の生活面では、若い世代への資産移転を促す内容が目立ちました。

 特に大きいのが、子供や孫が住宅を購入する際に、親が贈与できる金額が大きくなることです。これまでは、最大1000万円までが非課税となっていましたが、今回の大綱ではこの制度を2019年まで延長するとしています。特に2016年10月からの1年間は最大3000万円に拡大されますから、子供や孫の住宅購入が促進されることになるかもしれません。

 結婚や子育ての費用についても、親が支援できるようになりました。1000万円を上限とする新しい非課税制度が儲けられ、関連費用が非課税となります(これについては4年間の時限措置)。教育費用については、その対象範囲が拡大となったほか、株式投資から得られる利益や配当について5年間非課税とする「少額投資非課税制度」(NISA)の子供版も新設されました。

 日本は世代間で富の分布が大きく偏っているという特徴があります。日本の金融資産のうち7割近くが60歳以上の高齢者によって占められています。高齢者は基本的に保守的ですので、なかなかお金を使いません。リッチな高齢者の増加は経済を低迷させる要因となってしまいます。

 これらの税制は、高齢者の資産を自分の子供や孫のために使わせるというものですので、経済全体としては支出を増加させ、GDPを増やす効果があると考えられます。子供版NISAについては、株式投資の活性化につながるでしょう。

 しかしこうした税制にはデメリットもあります。資産が移転する先は、子供や孫に限定されますから、親から支援を受けられる人とそうでない人との格差が広がってしまいます。住宅や教育というのは、人生の重要な部分を形成するものですから、税制が格差拡大を後押しするのは望ましい姿ではありません。

 もっとも、政府は格差を拡大させるためにこの政策を進めているわけではありません。日本ではあまりにもお金が動かないため、こうでもしないと高齢者がなかなかお金を使わないというのが現実なのです。多くの人に平等な形で高齢者から若年層への所得移転を促すことが理想的ですが、現状ではなかなか難しいでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/13(日) 4:12
THE PAGE