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日本の家計の貯蓄率がマイナスに ── 日本で貯蓄率が低下している最大の原因は?

2015/1/16(金) 14:00配信

THE PAGE

 貯蓄好きと言われてきた日本人の行動が大きく変わっています。家計の貯蓄率がとうとうマイナスに転じてしまったのです。貯蓄率の低下は経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

 内閣府が昨年末に発表した2013年度の国民経済統計によると、家計の貯蓄率が始めてマイナスに転じました。家計の貯蓄率とは、可処分所得に対する貯蓄の割合を示します。簡単に言えば、国民全体で、手取り収入の何%を貯蓄に回しているのかを示す数字ということになります。これがマイナスになったということは、日本人は収入以上に消費をしており、貯蓄を取り崩して生活しているということを意味しています。

 経済全体で見ると、国民が貯蓄した分は、国内の投資に使われることになります。投資に使われずに余った分があれば、それは経常黒字になるか、政府が赤字の場合にはその穴埋めに回ります。日本政府の財政状況がすぐに改善する可能性は低いですから、貯蓄が減ると、経常収支が赤字になる可能性が高くなります。

 経常赤字であることが、経済に直接マイナスの影響を与えるわけではありません。成熟した先進国の多くは、付加価値の低い製品については途上国から輸入した方が有利ですので、経常収支は赤字に向かうことが一般的です。その状況に合わせて適切な経済運営を行えば、経常収支が赤字でも、順調に経済を成長させることができます。

 しかし、経常収支が赤字になった場合、国全体としてより高度なマネーの運用能力が求められるのも事実です。国内の資金不足を海外からの投資に頼ることになりますから、しっかりとした金融市場を整備しておかないと、優良な投資資金を集められません。結果として、国内の設備投資が脆弱になったり、金利が上昇する危険性も出てくるでしょう。

 そのような状態にならないためには、貯蓄率を上げればよいということになりますが、そう簡単にはいきません。貯蓄率がマイナスと聞くと、ムダ使いをして過剰に消費しているイメージを思い浮かべますが、日本はそのような状態ではありません。日本で貯蓄率が低下している最大の原因は過剰消費ではなく高齢化なのです。

 高齢者はどんなに頑張っても現役時代と同じようには稼げません。必然的に貯蓄を取り崩して生活することになります。日本の貯蓄率の低下は、贅沢三昧というよりも、多くの人が、ちょっとずつ貯蓄を取り崩した結果であり、よほどの経済成長を実現しない限り、この状況を改善することは難しいのです。

 現実的には、財政赤字をできるだけ減らすとともに、海外から優良な投資資金を集めるための金融市場整備などが、貯蓄率低下に対する最大の対処法といえるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/23(火) 2:54
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