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「WTO設立20年」TPP、FTAとのジレンマや機能不全 早稲田塾講師・坂東太郎のよくわかる時事用語

2015/1/21(水) 17:00配信

THE PAGE

 1995年1月1日に設立された世界貿易機関(WTO)は今年で20周年を迎えました。

【図表】「EPA」「FTA」「TPP」の違いって何?

 WTOの前身は1948年に設立された「関税と貿易に関する一般協定」(GATT)です。これは1929年のニューヨークでの株価大暴落に端を発した世界恐慌に対応すべく、主要国が保護主義に走っていために第二次世界大戦の大きな原因になったという反省からです。

保護主義への反省から前身のGATT誕生

 当時の保護主義とは恐慌から自国産業を守るために当時の基軸通貨にあたる金を買って自国通貨を売る通貨安政策を取って少しでも輸出有利・輸入不利の状況に持ち込んだり、輸入品にかける関税を大幅に引き上げて閉め出す政策です。1国だけでなくイギリス連邦のように加盟国だけ関税を低くするというブロック経済圏があちこちに出現しました。あるブロックが結束すると他が報復策を採り、この争いが各国・地域のナショナリズムに火をつけました。貿易は劇的に縮小し3年間で約70%も失われたとされます。

 日本のような新興国は輸出先を失い、対抗するために中国大陸の市場および資源を求めたのが満州事変や日中戦争の一因にもなりました。

 そこでGATTではまず鉱工業品を手始めに貿易自由化を手がけます。主なメンバーは戦後始まった東西冷戦のうちアメリカを中心とする西側です。なぜ自由化かというと仕組みは比較的簡単でA産業が強いX国とB産業が強いY国が関税をなくして貿易すればXのAがYに、YのBがXになだれ込み、そのメリットは衰退するXのB産業やYのA産業の損失を国全体で考えれば補って余りあるはずだという「比較優位」の論理に基づいています。「最恵国待遇」(すべての加盟国に同じ貿易条件を与える)と「内国民待遇」(国産品と輸入品を同じく扱う)が2大原則です。

 旧ソ連が率いた東側の経済相互援助会議(COMECON)はソ連崩壊の1991年に解散し、地球規模の組織を考案する素地が生じ、1995年のWTO設立に結びつきました。地域大国のうち中国が2001年に、ロシアも2012年に加盟し、今では世界の4分の3以上にあたる160の国と地域が参加しています(2014年6月現在)。

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最終更新:2016/1/28(木) 3:56
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