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年金運用の見直しで最大損失21兆円の可能性ってホント?

2015/1/22(木) 7:00配信

THE PAGE

 公的年金の運用について、国債を中心としたものから株式にシフトすることが決定していますが、最悪の場合、年間で21兆円を超える損失が出る可能性があることが明らかになりました。ちょっとびっくりする数字ですが、果たしてこれは本当なのでしょうか。

 わたしたちの年金はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という組織によって運用されています。現在の運用残高は約130兆円で、これは世界でも最大規模です。これまでGPIFの運用は、安全第一ということで、国債が中心でした。しかし、日銀による量的緩和策の導入によってインフレが進む可能性が高くなってきており、国債を中心とした運用では十分な利回りを確保することが難しくなりつつあります。

 こうした状況を受けて、安倍政権では年金運用の見直しを進めており、GPIFは昨年10月、株式の割合を大幅に増やすことを決定しました。これによって想定される利回りは上がりましたが、相応のリスクを伴うことになったわけです。

 政府は、新しいポートフォリオが持つリスクについて、最大で21兆円の損失を出す可能性があることを明らかにしました。これは、民主党の長妻議員が提出した、年金の運用リスクに関する質問主意書に対する回答という形で出てきたものです。21兆円と聞くとちょっと驚いてしまいますが、結論から言うと、金融工学にしたがって計算すれば、そのような数値になるのは何ら不思議ではないということになります。

 長妻議員の質問は「今回実施された新しいポートフォリオにおいて、確率95%での最大損失額(Value at Risk)はいくらか」という内容です。これは、金融工学でいうところの2シグマ(確率95%の範囲で発生する1年間における株価の上下のブレ)において、どの程度の金額になるのかという意味です。

 これに対して答弁書では、「お尋ねの『確率95%での最大損失額』が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが」という責任回避的な文言が前置きされているものの、「約21.5兆円である」との回答が得られています。

 GPIFでは、日本株の期待リターンを約6%、1年間で想定されるリスク(ブレ幅)を最大で約50%としてポートフォリオを設計しています。政府の答弁はこの数値をほぼそのまま当てはめたものと考えられます。21兆円の損失を出すこともあれば、逆に同じ金額以上の利益を出す可能性もあるわけです。理屈通りの話なのですが、これをどう評価するのかは、人それぞれかもしれません。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/21(日) 2:32
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