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郵政グループ3社上場、ガバナンスは大丈夫か?

2015/1/26(月) 7:00配信

THE PAGE

 日本郵政グループの3社(日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険)が今年中に株式を上場することになりました。2005年の郵政民営化法の成立以来、10年を経て上場にこぎ着けたわけですが、子会社が同時に上場する形になるなど、ガバナンス上の問題も指摘されています。

 日本郵政は、昨年12月、グループ3社を2015年中に上場させる方針であることを明らかにしました。郵政民営化は構造改革の象徴ともいわれましたが、その方向性をめぐっては混乱が続き、一時は民営化そのものも危ぶまれました。しかし、株式上場のメドがついたことで、基本的に政府保有株を売却するという当初の目標を達成できる見込みとなりました。

 しかし今回の上場には、いろいろ問題点があるのも事実です。市場関係者がもっとも懸念しているのは、親子同時上場になるという点です。日本郵政グループの持ち株会社である日本郵政は、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社を完全子会社としています。日本郵政の上場後も、日本郵便については日本郵政が株式を100%保有し続けますので、基本的には今までと同じ体制が維持されます。しかしゆうちょ銀行とかんぽ生命は、それぞれが独自に上場しますから、親会社である日本郵政と子会社である2社が同時に上場することになるわけです。

 このこと自体は何ら違法ではありませんし、東証のルール上も問題はないのですが、企業の利益相反を防ぐという観点から、市場のモラルとしてはあまり推奨されていません。

 例えば、ゆうちょ銀行が新しく始めた事業が親会社の日本郵政にとって不利益になるものだった場合、子会社にとっては利益であっても親会社の利益を損ねる結果となってしまいます。もし子会社の利益を優先してしまった場合には、親会社の株主にとっては、自分の預かり知らないところで、損失を被ることになってしまいます。

 今までの日本市場では、親子上場は珍しくありませんでしたが、市場の透明性という観点から、こうした慣行は見直されてきており、ソニーやパナソニックなどグローバル企業の多くは、親子上場を解消し、親会社が子会社の株式を買い取っています。

 日本郵政グループがわざわざ親子上場を実施する背景には、株式の売却益をできるだけ多くしたい政府の意向があります。日本郵政グループの株式売却益は東日本大震災の復興財源に活用されることが決まっています。しかし、親会社だけの上場では十分な財源を確保できないことから、3社同時上場になったといわれています。

 一方で政府は、これとは別に、民間企業に対して厳しいコーポレートガバナンスを要求する政策も進めています。日本郵政グループの運営体制が、他の民間企業に対して政府が求めているガバナンス水準に達していないのではないかという指摘も一部からは上がっているようです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/11/16(月) 4:05
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