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新しい相続税制度が始まる ── 課税対象拡大であなたは?

2015/1/25(日) 7:00配信

THE PAGE

 今年の1月1日から新しい相続税の制度が始まりました。相続税というと、ほとんどの人にとって無縁の税金ですが、今回の改正によって必ずしもそうではなくなったようです。

 新しい相続税の制度では、遺産を相続する時に非課税となる枠が大幅に縮小されました。相続税には基礎控除と呼ばれる仕組みがあり、例えば遺産を3人(妻と子供2人など)が相続する場合には8000万円まで相続税は発生しませんでした。8000万円以上の資産を持つ世帯はそれほど多くありませんから、この枠を超えてしまう人は、年間の死亡者の中でもわずか4%程度にとどまっていました。

 しかし今年以降は、同じ条件で計算すると4800万円まで課税対象が広がることになります。4800万円も多くの人にとっては大金かもしれませんが、首都圏などでは、一般的な住宅がこの程度の価値になることは十分考えられます。場合によってはごく普通のサラリーマン世帯でも、相続税の対象となるケースが出てくるわけです(相続人が引き続き同じ家に住む場合にはもう少し条件は緩くなります)。

 最大の問題は、こうした人たちは、相続税の対象になったとしても、いわゆる富裕層ではありませんから、住宅以外に目立った資産を持っていないということです。そうなってくると、相続税を支払うために泣く泣く住宅を売らなければならないというケースが増えてくる可能性があります。

 年間110万円まででしたら、生前に贈与しても税金はかかりませんから、これからはコツコツと生前贈与して相続総額を減らす世帯が増えてくるかもしれません。

 相続税については様々な考え方があります。親が持っていた不動産について、相続税が理由でそのまま引き継げないのはおかしいとする意見がある一方で、相続税を強化した方が、不動産が活発に売買されるので、経済的な効果が高いと主張する人もいます。また親の資産の多寡によって子供に格差ができるのはよくないという観点から相続税の強化を主張する人もいます。

 しかしながら、今の日本では、相続税の根本的なあり方について議論する余裕はほとんどなさそうです。日本の財政再建を実現するためには、消費税10%への増税だけでは不十分であり、相続税を中心とする資産課税を強化しないと税収を増やすことができないからです。

 相続税がどのような主旨の税金であれ、今後強化されることはあっても、減額される可能性は極めて低いでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/31(日) 3:22
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