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ECBが量的緩和策の導入を決定 ── 効果は見込めるのか?

2015/1/29(木) 7:00配信

THE PAGE

 欧州中央銀行(ECB)がとうとう量的緩和策の導入を決定しました。ECBが1月22日の理事会で量的緩和策を決定することはすでに織り込み済みでしたから、ニュースが伝わった後も、市場は落ち着いた反応を見せています。しかし、量的緩和策が十分に効果を上げることができるのか、一部からは疑問視する声も上がっているようです。

 ECBによる量的緩和策が、日本や米国ともっとも異なっているのは、実際の資金供給はECBではなく各国の中央銀行が個別に実施するという部分です。ECBの決定に基づき、各国中央銀行は、3月から国債を中心に毎月600億ユーロ(約8兆円)の資産買い取りを実施します。問題はどの国の国債をどれだけ購入するのかということなのですが、これについては各国中銀のECBに対する出資比率によって自動的に決定されます。つまり、ドイツのような経済規模の大きい国の国債がより多く購入されることになるわけです。

 ドイツの国債は非常に人気が高いですから、かなりの低金利(債券価格は上昇)になっています。すでに買われている国債をさらに大量購入しても、その効果は限定的なものとなるでしょう。しかもドイツは財政再建に成功しており、今年から新規の国債発行は実質的にゼロになっています。市場に出回る国債の数は増えませんから、ドイツの国債を買い続けることは難しいかもしれません。

 また緩和策の規模も大きくありません。日銀は現在、年間80兆円の資金を供給しているのですが、ECBにおける今回のプランは日銀を少し上回る程度の規模となっています。ユーロ圏の経済規模は日本の3倍近くあることを考えると、規模が小さいという印象は拭えません。

 このような状況になっているのは、欧州経済のリーダーであるドイツが量的緩和策にあまり積極的ではないからです。ドイツは量的緩和策によって、ECBが損失を負うリスクについて懸念しています。ECBが損失を被った場合には、最終的にそれをカバーするのはドイツということになりますから、リスクを伴う政策に対しては慎重になっているわけです。またドイツは量的緩和策で経済を刺激するよりも財政再建を優先すべきであるという明確な信念を持っています。今回のECBの決定は、こうした様々な価値観のバランスを取った妥協策ということになります。

 欧州の不況は米国とは異なり、構造的な問題が大きいといわれています(これは日本も同様です)。非効率な国営企業が多く、肥大化した労働組合の存在が足かせになっている国も少なくありません。構造的な問題を抱えていると、金融政策の効果は半減してしまうとも言われており、その点において、欧州では量的緩和策が米国ほどの効果をもたらさないのではないかと指摘する意見が出ています。

 ECBのドラギ総裁は、基本的に物価が上昇するまで緩和策を続ける姿勢を明らかにしています。とりあえず市場は量的緩和策の効果について、様子見といったところでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/4/1(水) 2:47
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