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格差縮小に向けてオバマ大統領が富裕層増税、日本でも同じようにできる?

2015/1/29(木) 20:00配信

THE PAGE

 米オバマ政権が富裕層に対する課税を強化する方針を打ち出しました。日本でも格差問題が議論されていますが、富裕層への課税強化によって、格差問題は解消されていくのでしょうか。

 オバマ大統領は1月20日、米議会において一般教書演説を行い、格差解消のため、富裕層に対する課税を強化する方針を打ち出しました。昨年11月に行われた中間選挙の結果、米国の議会は両院とも共和党が多数となり、オバマ大統領の政策はなかなか実現しにくい状況にあります。しかし、共和党内部にも格差解消について肯定的な意見もあることから、オバマ政権ではこの政策を積極的に進めていく方針です。

 このところ米国では経済格差が大きな社会問題となっています。日本でも同様に格差問題がクローズアップされていますが、日米を比較すると、同じ格差といっても状況がかなり異なるようです。

 米国で格差が拡大した最大の原因は、ブッシュ政権以降、富裕層への減税を繰り返してきたからです。今回のオバマ大統領の提言は富裕層への課税強化策と報道されていますが、厳密にはそうではありません。今回、提示されているのは、キャピタルゲイン課税の税率をレーガン政権の時代の水準まで戻すというものです。つまり過度に優遇された富裕層への課税を元の状態に戻す政策なのです。

 米国では、トップ3%の富裕層が全体の富の54.4%を所有しています。この比率は年々上昇しており、最大の原因は富裕層への優遇策にあることはほぼ間違いありません。過度に優遇された富裕層をもとの状態に戻すだけですから、話は比較的シンプルといってよいでしょう。

 一方、日本はトップ8%が全体の富の50%を占めている状況ですので、米国に比べれば一部の超富裕層が富を独占しているわけではありません(思ったより多いという見方もできますが)。日本では過去20年間、不況が続いてきましたから、高額所得者の数は増えていません。

 日本でも格差が拡大しているという指摘がありますが、これは、相対的貧困率の上昇などからも分かるように、超富裕層が増えているのではなく、低所得者が増加したことによって発生しています。

 超富裕層がいない状態で富の再分配を行うのは、そう容易ではありません。まず富裕層を優遇し、富裕層の所得を増大させてから、それを原資に低所得層に再分配するという方法と、中間層を含めて広く負担を増やし、低所得層に再分配するという方法が考えられます。前者は効果が出るまでに時間がかかるという問題がありますし、後者は社会的合意を得るのが難しいという問題があります。日本の格差問題が解消されるまでには、かなりの時間が必要となるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/3/1(日) 2:38
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