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イエメン情勢が急速に悪化、国際政治に極めて大きな影響も

2015/1/30(金) 10:00配信

THE PAGE

 中東にあるイエメンの情勢が急速に悪化しています。日本ではあまり報道されませんが、イエメンの政情不安は、国際政治に極めて大きな影響を与える可能性があります。

 イエメンはアラビア半島の先端にある国で、サウジアラビアと国境を接しています。よく知られているようにアラビア半島には大量の石油が埋蔵されており、国際政治においてはもっとも重要な地域の一つとみなされています。アラビア半島には、サウジアラビアをはじめ、アラブ首長国連邦など、非民主的な王制国家が多いのですが、それは、安全保障上の問題から、米国が民主化よりも、政情の安定と米国との同盟関係を最優先してきた結果でもあります。このため、アラビア半島の各国は、戦後のアラブ民族主義や1970年代後半に発生したイスラム革命、2010年から12年にかけて各国で発生した反政府運動(いわゆるアラブの春)とは、ほぼ無縁でした。

 そうした中で唯一の例外となっているのが、共和制を採用しているイエメンです。イエメンのサレハ前大統領は1970年代から長期にわたって軍事独裁政権を維持していましたが、アラブの春をきっかけに国内で反政府運動が高まり、2011年に大統領を辞任しました。その後、副大統領だったハディ氏が大統領に就任し、現在まで政権の座についていました。ハディ政権は、中東諸国と米国との間でバランスを取る戦略を採用しており、イスラム系国際テロ組織アルカイダに対する空爆を認めるなど、米国にとっては、中東情勢のカギを握る国とみなされてきました。

 しかし、2015年1月19日、イエメン国内のイスラム教シーア派に属するザイド派民兵組織が武装蜂起し、大統領官邸や主要メディアを制圧するという事態になりました。ハディ大統領は22日、辞意表明を行い、武装蜂起はクーデーターに発展しており、先が見えない状態にあります。

 イエメンの政情不安は、米国の中東政策の変化と深い関係があります。米国では、リーマンショック以降、国民の外交に対する関心はかつてない水準まで低下しています。オバマ大統領自身も、イラクやアフガニスタンからの撤退を公約に掲げて当選した大統領ですし、米国はシェールガスの開発が進んでいることから、中東の石油に頼る必要がなくなっています。オバマ政権は、就任以降、中東問題に対して積極的に関与しない方針を明確に掲げてきました。シリアの内戦に対しても米国が消極的なのはこうした事情が大きく影響しています。

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最終更新:2016/1/24(日) 3:59
THE PAGE

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