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<インド>北京を超えた大気汚染 ── 高橋邦典フォト・ジャーナル

2015/1/30(金) 21:00配信

THE PAGE

 首都デリーの冬。気温の下がるこの季節、ほぼ毎日のように、どんよりと曇った空気が視界を遮るようになる。一見ロマンティックな霧のようにもみえるが、そんな風情のあるものではない。濃霧の多くが大気汚染によるものなのだ。

 デリーの空気は、世界最悪と悪名高い北京よりも人体に有害である、との調査報告が昨年なされた。主な原因は埃と車の排気ガス。排気ガスに含まれる超微粒子PM2.5は、肺の奥深くまでとりこまれ、血液中にも侵入して疾患を引き起こす。ディーゼル車の排気ガスには、ガソリン車の10倍以上ものPM2.5が含まれる。デリー市内を走る車は毎日およそ1400台ずつ増え続けているという。その半分はディーゼル車だ。抜本的な改革がなされない限り、近い将来デリーの大気汚染が改善される見込みはない。こんなわけだから、2歳になる娘がいる僕も、彼女の外出時間に気を使わなくてはならなくなる。

 いまや経済面で中国とならび大国となったインドであるが、大気汚染に限らず、河川の汚染やゴミ問題など、解決しなくてはならない環境問題は山積みだ。

(2014年1月)

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高橋邦典 フォトジャーナリスト
宮城県仙台市生まれ。1990年に渡米。米新聞社でフォトグラファーとして勤務後、2009年よりフリーランスとしてインドに拠点を移す。アフガニスタン、イラク、リベリア、リビアなどの紛争地を取材。著書に「ぼくの見た戦争_2003年イラク」、「『あの日』のこと」(いずれもポプラ社)、「フレームズ・オブ・ライフ」(長崎出版)などがある。ワールド・プレス・フォト、POYiをはじめとして、受賞多数。

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最終更新:2015/12/12(土) 4:55
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