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イスラム教とは何だろうか 橋爪大三郎(社会学者)

2015/2/4(水) 13:00配信

THE PAGE

 イスラム教は、理解しやすい。なぜなら数学のように、合理的にできているからだ。

 「イスラム」は、平和という意味。さまざまな由来の民族、集団が矛盾なく平和に共存することを目的とする。そのため人びとが、イスラム法に従うことを要求する。

 イスラム教の聖典は、クルアーン (コーラン)。これはいわば、イスラム教のルールブックであって、人びとをそのルール (イスラム法)に従わせる。この結果、ルールに従う人びとの共同体が生み出される。人びとはそれまで、伝統的な民族文化に従っていたかもしれないが、それはリセットされ、イスラム教のルールで上書きされる。

 イスラム教は、ユダヤ教とキリスト教の、いいとこ取りである。

 ユダヤ教は、聖典タナハ(旧約聖書のこと)に書かれたモーセの律法(ユダヤ法)に従う。厳格でこまごましたルールに従うと、ユダヤ民族という、輪郭のはっきりした共同体ができあがる。イスラム法もユダヤ法と同様に厳格なので、輪郭のはっきりした共同体ができあがる。

 キリスト教は、ユダヤ民族だけでなく、人類のすべてに救いの可能性を拡大した。イスラム教も、人類すべてに開かれている。

 イスラム教に改宗するとはどういうことか。日本がイスラム教に改宗したらどうなるかを考えてみよう。

 まず、イスラム法に従わなければならない。イスラム法には食物規制がある。ブタは食べてはいけない。アルコールも飲んではいけない。食べてはいけない肉や魚類がいろいろある。みりんもアルコールが入っているからだめ。日本料理は解体して、別な料理になるだろう。安息日の規定もある。安息日は金曜日。これまでの暦はやめて、イスラム暦にしなければならない。 服装も、男性はイスラム帽。女性はスカーフで髪を隠し、肌の露出もダメ。ファッションどころではない。法律も、家族法や民法を中心に、イスラム法に合わせる。利子も禁止だから、銀行は無利子銀行に看板を掛けかえる。要するに日本社会は、日本風の特徴を失って、イスラム文明の一部になる。

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最終更新:2016/1/28(木) 3:44
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