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<インド>インドを支える労働者たち ── 高橋邦典フォト・ジャーナル

2015/2/10(火) 20:00配信

THE PAGE

 輸送される石炭を撮ろうと、駅で貨物列車が到着するのを待っていた。ところがやってきた列車が運んできたのはセメントばかり。どうやら入手した情報が間違っていたらしい。急ぐ撮影でもなかったので、荷を降ろす人夫たちにしばらくつきあうことにした。飛び散る粉塵であたりが白く覆われるなか、汗と白粉にまみれた男たちが次々とコンテナのなかに積まれたセメントの袋を運び出していく。おそらく日本や欧米ではこんな荷の積み降ろしはフォークリフトでぱっぱとやってしまうのだろう。袋を一つ一つ運ぶのは人数も必要だし時間もかかる。しかし、12億以上の人口を抱え、労働力人口も莫大なこの国では、一見不合理なこんなやり方が道理にあっている。単純労働の場では、機械化などせずに人間の力を使うほうが、より多くの人々に長い時間の仕事を供給することができるのだから。何千万というこんな労働者の力こそが、大国インドの経済を根底で支えているともいえるのだ。

(2012年9月)

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高橋邦典 フォトジャーナリスト
宮城県仙台市生まれ。1990年に渡米。米新聞社でフォトグラファーとして勤務後、2009年よりフリーランスとしてインドに拠点を移す。アフガニスタン、イラク、リベリア、リビアなどの紛争地を取材。著書に「ぼくの見た戦争_2003年イラク」、「『あの日』のこと」(いずれもポプラ社)、「フレームズ・オブ・ライフ」(長崎出版)などがある。ワールド・プレス・フォト、POYiをはじめとして、受賞多数。

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最終更新:2015/10/8(木) 4:36
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