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日銀審議委員人事から見る、量的緩和策の行方

2015/2/11(水) 7:00配信

THE PAGE

 日銀の金融政策を決定する政策委員会の新しい人事案が話題となっています。政府は5日、退任する日銀の宮尾龍蔵審議委員の後任に、量的緩和策の推進論者として知られる原田泰早大教授を起用する人事案を提示しました。これは何を意味しているのでしょうか。

 日銀の金融政策は、総裁だけが決めるわけではありません。日銀が金融政策について決定する際には、同行の最高意思決定機関である政策委員会での決議が必要となります。政策委員会は、総裁と2名の副総裁、6名の審議委員の合計9名で構成されており、意見が割れる場合には多数決となります。

 昨年10月、日銀は追加の量的緩和策を決定しましたが、この時の政策委員会は、賛成5名、反対4名というギリギリの状態でした。今回退任する宮尾氏は追加緩和に対して賛成票を投じていましたから、もし宮尾氏の後任に量的緩和に慎重な人が就任することになれば、今後の決議がどうなるか分からないという可能性が出てきます。

 通常、日銀の審議委員人事は、日銀の事務方と財務省などが、各方面の意見を調整しながら決定することが多いといわれています。しかし報道によると、今回の人事は基本的に官邸主導で行われました。原田氏本人は、経験も豊富で見識が高く、人物的にはまったく問題ないと考えられていますが、最大の決め手は、何といっても量的緩和に積極的という部分でしょう。つまり官邸は今後も量的緩和を貫いて欲しいという明確なメッセージを発したということになります。

 量的緩和策は、今、まさに正念場を迎えています。当初、日銀は2年で2%という物価目標を掲げ、量的緩和に踏み切りましたが、物価は思ったほど上昇しませんでした。岩田副総裁は4日の記者会見で、2年で2%という物価目標の達成は困難であるとの認識を示しており、目標達成が遅れていることを認めました。日銀は、原油価格の大幅な下落が、物価の下押し圧力につながっているとして、物価目標の達成にはもうしばらく時間がかるというスタンスです。一方、量的緩和策に反対する専門家は、原油価格が原因ではなく、量的緩和策そのものに不備があると指摘しています。

 どちらが正しいのかは分かりませんが、量的緩和策が市場にインフレ期待を持たせる政策である以上、日銀が消極的になっているというイメージだけは避けたいところです。その意味で、積極緩和論者の原田氏を審議委員に起用したのは、政府・日銀としては当然の流れということになるでしょう。

 6月には宮尾氏に引き続いて、森本宜久氏も審議委員を退任します。森本氏は追加緩和に反対票を投じていますが、後任の審議委員に、原田氏と同様、積極緩和派の人が就任することになれば、日銀の緩和路線はさらに強固になると考えられます。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/3/14(土) 2:36
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