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<インド>アイドル経済学者 ── 高橋邦典フォト・ジャーナル

2015/2/18(水) 20:00配信

THE PAGE

 インドの著名な経済学者、アマルティア・セン博士を撮影する機会があった。

 東部のサンティニケタンに生まれたセン博士は、1998年のノーベル経済学賞の受賞者であり、現在はハーバード大学の教授として一年の大半を北米で過ごす。彼が帰郷した際に半日を過ごし、翌日同じ列車にコルカタまで同乗させてもらった。故郷であるサンティニケタンの駅で列車を降りたセン博士には花束が送られ、護衛が人混みを掻き分けながら、家までエスコートがつくという特別待遇。

 さらに帰りの車両の中では、10歳にも満たない少年が、セン博士の写真を撮りに近づいてきた。こんな光景に僕は少なからず驚かされてしまった。果たして日本で、子供に写真を撮られるほど有名な経済学者などいるだろうか。学者がアイドル…!?後になって、尋ねればよかったと後悔したのだが、あの少年はセン博士のような経済学者になりたいという夢をもっていたのか?なんだかインドという国の懐の深さを垣間みたような気がした。

(2011年10月)

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高橋邦典 フォトジャーナリスト
宮城県仙台市生まれ。1990年に渡米。米新聞社でフォトグラファーとして勤務後、2009年よりフリーランスとしてインドに拠点を移す。アフガニスタン、イラク、リベリア、リビアなどの紛争地を取材。著書に「ぼくの見た戦争_2003年イラク」、「『あの日』のこと」(いずれもポプラ社)、「フレームズ・オブ・ライフ」(長崎出版)などがある。ワールド・プレス・フォト、POYiをはじめとして、受賞多数。

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最終更新:2015/6/24(水) 4:55
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