ここから本文です

NHKニュースで言及、「預金封鎖」って何?どんなことが起こるの?

2015/3/1(日) 7:00配信

THE PAGE

 預金封鎖というキーワードがちょっとした話題になっているようです。NHK夜9時のニュースで取り上げられたのがきっかけなのですが、預金封鎖とはいったい何なのでしょうか。

 預金封鎖は、太平洋戦争終了直後、破たんした日本政府の財政を立て直すため、国民の預金から強制的に税金を徴収する目的で実施された措置のことです。

 太平洋戦争は、当時の日本経済の体力を無視した無理な戦争でした。太平洋戦争(日中戦争を含む)に費やした戦費は、累計で国家予算の70倍(日中戦争開戦時における一般会計との比較)という途方もないものです。戦費の中には、占領地域の国策金融機関によって調達されたものもありますが、国内の分については、そのほとんどが日銀による国債の直接引き受けで調達されました。つまり、国民からの借金です。

 当時の政府債務の水準は、GDP(当時はGNP)の2倍を超えており、現在とほぼ同じです。当時の日本経済は今と比べれば非常に貧弱ですので、この政府債務の水準は完全に体力オーバーだったわけです。

 戦争中は政府によって価格統制が行われていましたから、インフレはそれほど顕在化していませんでした。しかし、戦争が終わると隠れていたインフレが一気に爆発することになります。

 政府はインフレを沈静化させ、政府の債務を返済するために、国民が持つ預金に目を付けました。このような非常措置に対しては異論もありましたが、東京大学教授の大内兵衛氏による「蛮勇をふるえ」というラジオ演説の影響などもあり、資産凍結もやむなしという雰囲気になっていきます。

 預金封鎖は1946年2月に突然、実施されました。銀行の預金は生活に必要な最小限の金額を超えて引き出すことができなくなりました(一部例外規定あり)。政府はその9カ月後、財産税法を施行し、封鎖された預金に対して税金を徴収しました。預金が少ない人は、25%程度でしたが、高額の預金を保有している人は、最高で90%にも達する税金が課せられました。この措置によって、多額の預金を持っていた富裕層はほとんどの資産を失ってしまいます。日本では昔から続くお金持ちの家がほとんど存在しないのはそのためです。国民の預金から強制的に税金を徴収することで、政府は膨大な借金を返済し、財政をなんとか立て直すことに成功したのです。

 このところ、日本の財政問題に再び注目が集まっていますが、当時と今とでは、経済的な基礎体力が違いますから、同じような状況になる可能性は低いと考えられます。また預金封鎖と財産税が発動された時は、まだ明治憲法が効力を持っていました。現憲法下では財産権の保護という観点から、当時と同じ措置を実施することは容易ではないでしょう。しかし、最近でもキプロスのように、同様の措置を実施した国がありますし、日本の政府債務は、保有する資産を差し引いたとしても、国際的に見て高い水準にあります。安心してよいという状態ではないかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/5(金) 2:41
THE PAGE