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北朝鮮と接近するロシアの思惑と落とし穴 危なっかしい正恩氏の外交デビュー

2015/3/8(日) 14:05配信

THE PAGE

 ここ最近、北朝鮮とロシアの接近が目立っています。金正恩氏が5月にロシアで開かれる「対ドイツ戦勝70周年記念式典」に出席するという話も出ています。もし正恩氏がロシアを訪問すれば、初の外交デビューとなるという意味で注目されています。一方、北朝鮮に対する国際社会の包囲網が厳しくなる中で、なぜロシアは北朝鮮に手を差し伸べるようなことをするのでしょうか。ここには、ロシアが国際社会で置かれている現実があります。

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先行きに暗雲たちこめるロシア

 かつてロシアを頂点とする旧ソビエト連邦(ソ連)は、アメリカ、中国と並んで世界の大国の一つとして国際政治の主役の一人でしたが、旧ソ連が崩壊してからは、国連ではソ連が持っていた常任理事国の代表権を引き継いでいることから、国際政治において多大な影響力をもっていると見られがちですが、必ずしもそうではありません。

 凋落(ちょうらく)著しいロシアという枠組みからの脱却を狙って、かつての連邦国は次々と分離独立を目指しました。ロシアは、その枠組みを維持しようと軍事介入を強行しました。代表的な軍事介入として「チェチェン紛争」があります。こうしたロシアの強硬な「覇権主義」は、国際社会の反発を招いてきました。

 経済面で見ると、ソ連解体直後は社会主義経済から市場主義経済にうまく移行できず混乱を招きました。しかし、世界第2位の原油生産国というアドバンテージを活かして、2014年のGDPランキングでは世界8位です。

 ところが、ここ最近は原油価格が暴落し、ロシアの通貨であるルーブルも下落しており、経済的に暗雲が立ちこめています。また、国際政治面では「ウクライナ問題」で国際社会の反発を招いています。ウクライナ情勢をめぐっては、2014年から欧米がロシアを非難し、国連でも緊張状態が続いています。

北朝鮮は“有効なカード”

 ウクライナ問題に限らず、ロシアを率いるプーチン大統領は、米国の覇権に対して強烈な対抗心を燃やしているようです。ソ連解体以後は、その枠組みを維持することもできず、「米国のライバル」は、今は昔。欧州にまで影響を及ぼした覇権時代は過去の栄光となりました。同じく、かつて社会主義国家だった中国は国内的な問題を抱えながらも、アメリカの対立国家として存在感を強めています。

 こうした中、ロシアを率いるプーチン大統領が、ソ連時代の大国としての覇権を復活させ、アメリカや中国と肩を並べるという「野望」をもってもおかしくありません。

 そして、アメリカや中国と対立するための有効なカードとして浮上してきたのが、金正恩氏率いる北朝鮮というわけです。

 わずか2400万にも満たない小国である北朝鮮が、核とミサイルでアメリカと中国の頭を悩ましている。双方の利害がダイレクトにぶつかることから、下手な軍事介入も出来ないという微妙な地域に位置する北朝鮮。ロシアとしては、この北朝鮮を利用しない手はないといったところでしょうか。北朝鮮は核問題でアメリカや中国の言うことを聞きません。ロシアが北朝鮮に影響力を持ち、核・ミサイル放棄の道筋を作ることが出来れば国際的な評価は一気に高まります。

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最終更新:2016/1/15(金) 4:24
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