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企業が貯め込んだお金はどこに行く? 実は政府の借金に消えている?

2015/3/15(日) 7:00配信

THE PAGE

 日本企業の利益が大きく伸びる一方、賃金はなかなか上昇しません。企業の内部留保は増え続けており、しかも、その半分が現預金という状況です。このお金はどこに使われているのでしょうか。

 財務省が3月2日に発表した法人企業統計によると、2014年10~12月期における日本企業の経常利益は前年比11.6%増の18兆651億円と、過去最高を記録しました。米国経済が好調で製造業の業績を後押ししたほか、円安と原油安の効果が働いているようです。一方で従業員の年収は過去20年間、横ばいかむしろ下がっています。このところ物価が上昇していますから、家計の実質収入は大幅なマイナスという世帯がほとんどでしょう。

 企業の利益拡大に伴って内部留保は過去最高水準となっています。内部留保は現金ではないので、内部留保の蓄積を問題視するのはおかしいという意見もよく聞かれます。確かに内部留保は会計上の利益の蓄積であり、この金額がすぐに現金として取り崩せるわけではありません。しかし、日本企業は現金の蓄積も莫大な金額になっているのが現実です。昨年末の内部留保は約330兆円なのですが、実にその半分が現預金となっています。つまり日本企業は160兆円もの現金を何もせず遊ばせているわけです。

 その理由は、日本国内に目立った設備投資先がないからです。主要な製造業の多くは、経済な好調な米国に工場を建設しており、米国市場にモノを売っています。またコスト競争が激しい分野はアジアに工場を立地するということになります。内需については基本的に人口が減少していますし、リスクを取って新しい産業を起こすという雰囲気ではありませんから、国内に資金需要はなかなか生まれてきません。

 ではこのお金はただ銀行口座に眠っているのかというとそうではありません。実は、このお金は日本政府の借金に充当されているのです。国債を中心とした政府債務は、基本的に国民の貯蓄によってまかなわれます。しかし、日本人の収入が減少していることから、家計の貯蓄率はとうとうマイナスに転換してしまいました。理論的には国債を買う余力がなくなっているはずですが、量的緩和策に伴う日銀による国債購入以外にも、まだまだ国債は市場で消化されています。それは、家計の貯蓄がなくなった分、企業の貯蓄が増加しており、これが金融機関を通じて国債の購入に回っていたわけです。

 企業は現金を蓄積するために存在しているわけではありませんから、この状況はあまり健全とはいえません。これを改善するには、日本経済全体の成長率見通しを高めることによって企業の設備投資を活発にし、それが家計収入の増加につながっていくという流れを構築しなければなりません。家計の収入が増えれば、貯蓄も増加しますから、自動的に国債の消化余力は増えてくるわけです。カギとなるのは、日本の成長力ということになるわけですが、今のところ産業構造を大きく変えようという動きは見られません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/4/15(水) 2:33
THE PAGE

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