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武田幸三、長渕剛さんに“命をかける”意味を教えてもらった

2015/3/15(日) 14:00配信

THE PAGE

 “超合筋”と呼ばれた鍛え抜かれた体でK-1ファイターとして活躍し、現在は俳優として第2の人生を歩む武田幸三さん(42)。現役時代は何があっても折れないハートを武器に、命を削るようなファイトスタイルで人気を集めましたが、フィールドは変われど「命がけで表現しなければ伝わらない」という魂は変わらないと言います。鋼(はがね)の心をさらに鍛え上げたのは、兄貴と慕う歌手・長渕剛さんでした。

 剛さんとの出会いは、2009年。僕が引退試合の前でした。以前から、剛さんのファンだったので、引退試合の入場曲に剛さんの曲『STAY DREAM』を使わせていただきたいと思ったのがきっかけだったんです。
それで、剛さんと親交が深く、僕が以前からお世話になっていた空手の新極真会・緑健児代表にお願いしたんです。そして、緑代表のご縁で初めて剛さんにお会いすることになったのがレコーディングスタジオでした。

 僕は、てっきり普通にアルバムか何かのレコーディングをされているところにあいさつにうかがうとばかり思っていたら、行ってみて分かったんですけど、わざわざ僕のために『STAY DREAM』をレコーディングしてくださると。

 その時点で十分衝撃的なんですけど、最初からこっちのことを「幸三」と呼んでくださって、何と言うか、怖いイメージがあったんですけど(笑)、優しく包み込んでくださるんですよね。そして、さあ、今からレコーディングという時になって、そこで「命、吹き込むから」とおっしゃったんです。

 もちろん、ファンですし、お会いして何とも言えない大きな空気も感じていました。ただ、本当に正直な話、その言葉を聞いた時の自分の気持ちは「エッ?」という感じだったんです。自分は文字どおり、肉体的に格闘技で命をかけてきましたし、実際、何回も死ぬ思いもしました。それが、歌手、歌で命をかける、命を吹き込むというのがどういうことなんだろうと。実際に命のやりとりをしてきたと思っている自分からすると、最初は、その言葉が入ってこなかったんです。

 そう思いながら、一対一でスタジオに入って目の前でレコーディングが始まったんです。マイクに向かって剛さんが声を出した瞬間、分かりました。「これは、命をかけている」と。生きる全精力をかけて、歌ってくれてるなと。

 これはその場にいた人間、そして、ずっと命のやりとりをしてきた人間だからこそ分かる感覚なのかもしれないですけど「命を削ってる」というのがあるんです。よく僕も言ってきたんですけど「リングでは、カンナで寿命を削りながら戦ってる」と。表現方法は違えど、まさにそれだったんです。そして、その瞬間、自分が泣いてるのにも気づきました。

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最終更新:2016/2/19(金) 3:10
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