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大阪府の現代美術作品を集めた「眼と心とかたち」展

2015/3/27(金) 10:35配信

THE PAGE

食パンの包装紙やアルミ板が芸術作品に

 続いて、具体美術協会創設メンバーのひとり、上前智祐(うえまえ・ちゆう)の「作品(食パン包装袋)」(1976年ごろ)。こちらも大きな作品だが、のぞきこむと、食パンの包装紙をひたすら張り重ねたものだ。

 「アメリカで活躍したアンディ・ウォーホルが、キャンベルスープのスープ缶を描いた作品群を発表しているが、上前は食パンの包装紙に着目した。ジャンクアート、ポップアートのすぐれた作品です」(中塚主任研究員)

 特別展示森口宏一の直線と円で構成された作品が制作されたのは1964年。東海道新幹線が開通し、東京五輪が開かれた年だ、当時新たな建材として注目されているアルミ板を駆使して作品が制作された。

 「現代美術では物質の持つ質感や存在感そのものを追求した時代があった。森口はアルミの他にも、ステンレスやポリエステルなど多様な工業材を用いました」

 ふと技術革新という言葉を思い浮かべる。森口は関西大学で統計学を学んだ後、現代美術へ進んだ。今風にいえば、学際的アーチストだった。森口以外の作品にも、三角定規、フォーク、ドンゴロスなどの素材が巧妙に利用されている。会場で隠れた素材探しも一興だろう。

 大阪トリエンナーレ・コレクションの外国人作家の作品からは、メッセージ性がひしひしと伝わってくる。

好きなことに打ち込めば困難を乗り越えられる

 中塚主任研究員は「四角いキャンパスには無制限の自由がある。画家は自身の思いを自由に描いていく。絵画的表現を言語的表現に転換するのはむずかしいが、どう解釈するかは観客の自由だ」と話す。「感想を無理に言葉にしようとせず、気になる作品の前で、めい想してみる。こうしたらもっとおもしろくなるかもしれないと想像するのも自由です」と、マイペースでの鑑賞をすすめる。

 現代美術の手法や発想を、日々の暮らしのヒントにする方法はないだろうか。

 中塚主任研究員は「経済的に恵まれない画家たちもいたが、果敢にチャレンジすることで生きたあかしを残すことができた」と分析。「人はだれでも好きなことに打ち込めば、困難を乗り越えることができる」と、ジャンルを超えて若い世代の背中を押す。芸術も仕事も人生も、分からないからこそ、おもしろい。
開館時間は午前11時~午後7時、月曜休館、会期は4月4日まで、入場無料。詳しくは府立江之子島文化芸術創造センターの公式サイトで。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)

地図URL:http://map.yahoo.co.jp/maps?lat=34.6812689&lon=135.483742&z=18

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最終更新:2015/3/27(金) 10:35
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