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香川はハリルJで輝きを取り戻せるのか?

2015/3/28(土) 6:00配信

THE PAGE

 ペナルティーエリアの左側からゴール前へ向けて、背番号『10』が加速していく。相手を背負いながらボールをキープするFW岡崎慎司(マインツ)の左側をすり抜け、その岡崎からあうんの呼吸でパスを受けたMF香川真司(ドルトムント)が迷うことなく左足を振り抜く。

 マーカーの股間に狙いを定めた一撃は相手の足に触れて威力を弱め、体勢を崩した相手GKが必死に弾き返す。大歓声がため息に変わりかけた直後に、こぼれ球にFW本田圭佑(ACミラン)が待っていましたと詰めてきた。

 27日に大分銀行ドームで行われたチュニジア代表との国際親善試合。ハリルホジッチ新監督の初陣で勝利を手繰り寄せたのは後半38分にダメ押し弾を決めた本田であり、その5分前に0対0の均衡を破る先制点を頭で叩き込んだ岡崎であり、両方のゴールに絡んだ香川だった。

 キックオフまで1時間を切った午後6時半すぎに発表された先発メンバー。ボスニア・ヘルツェゴビナ出身で、フランス国籍を持つ62歳の新指揮官は誰を選ぶのか。注目された11人のなかに本田、岡崎、そして香川の名前はなかった。

 システムは「4‐2‐3‐1」。ワントップには代表デビューの川又堅碁、右サイドには代表2試合目の永井謙佑(ともに名古屋グランパス)が抜擢され、トップ下には約1年半ぶりの先発となる清武弘嗣(ハノーファー)が指名された。ハリルホジッチ監督が意図をこう説明する。

「新しい選手、あまり試合に出ていなかった選手の力を試したかった」
 
 一方で就任会見から一貫して「負けることが大嫌い」と宣言していている指揮官だけに、ゴールを奪えない状況が続けば、ある時間をもって勝負モードに切り替えることも決めていたのだろう。
 迎えた後半15分。スタジアムが大歓声と拍手に包まれる。本田と香川がスタンバイ。前者は永井と、後者は清武との交代でピッチに入った。

「どんどんボールを受けて、攻撃のリズムを作っていくようにと監督からは言われた。あの時間帯になって相手(の運動量)も落ちてきていたので、リズムを変えようと(本田)圭佑君とも話していた」

 ザックジャパン時代は同じ「4‐2‐3‐1」でもトップ下には本田が君臨し、香川は左サイドが主戦場となった。セレッソ大阪やドルトムントで輝きを放ったトップ下への憧憬の思いを胸中に封印しながら、所属チームとは異なる仕事に徹した。

 しかし、大きな期待を背負って移籍したマンチェスター・ユナイテッドで出場機会を徐々に失い、比例するように試合勘も鈍る。2013‐14年シーズンはプロ選手になって初めて無得点に終わるなど、自信までもが揺らいでいった。

 日本代表でのプレーを浮上のきっかけに、と意気込むほどプレーが空回りする悪循環。憧れてきたワールドカップでも、シーズン開幕後に復帰したドルトムントでも輝きを取り戻せず、準々決勝でUAE代表に屈した先のアジアカップではPK戦でまさかの失敗。責任を背負うように号泣した。

 正式契約をかわす前からこれまでの日本代表の試合映像をチェックしてきたハリルホジッチ監督は、就任会見でこんな言葉を残している。
「何人かの選手は自分自身に対する自信を失っているようだ」

 そのなかに香川が含まれていることは明白だったが、実はアジアカップ後にドイツへ戻った香川にはある変化が生じていた。ドルトムントでのプレーを見ていると、楽しそうにプレーするシーンが少しずつ増えていた。帰国する直前のリーグ戦では、約半年ぶりとなるゴールも決めている。

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最終更新:2015/5/29(金) 4:47
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