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京都・三重 2つの鉄道が「地方の公共交通」変える!?(鉄道ライター・伊原薫)

2015/3/30(月) 16:00配信

THE PAGE

 北陸新幹線の開業や、それに伴う特急列車の再編や並行在来線の第三セクター化が大きな話題となった、JRのダイヤ改正。「えちごトキめき鉄道」「あいの風とやま鉄道」「IRいしかわ鉄道」の3社が誕生し、北陸本線・信越本線を受け継ぎました。毎年、春の鉄道の話題といえばJRのダイヤ改正が大きなものですが、その一方で、この4月から走り出す2つの鉄道会社が、実は日本の地域公共交通にとって大きな意味を持っているのです。

【拡大写真入りの記事】北近畿タンゴ鉄道の車両や中の様子など

第三セクターの北近畿タンゴ鉄道のケースは

 1つ目の舞台は、京都府北部・丹後地方。ここでは、福知山と宮津を結ぶ宮福線と西舞鶴~宮津~豊岡を結ぶJR宮津線を引き継いだ、第三セクターの北近畿タンゴ鉄道が走っています。

 宮福線は大阪・京都から丹後地方への観光客を運ぶメインルートとして建設され、JRの特急電車が乗り入れてくるものの、高速道路の完成や沿線高校生の減少などで乗客数は低迷。宮津線も元々赤字路線を引き継いだこともあり、北近畿タンゴ鉄道全体では20年以上に渡り赤字を計上しています。2013年度の営業収益は約11億円、対して営業費用はほぼ倍の約20億円。赤字額は8.9億円と、他の第三セクター鉄道と比べても突出しており、京都府や沿線自治体からの補助で成り立っている状態です。

 これ以上、現在の枠組みでの路線維持は不可能ということで、京都府や沿線自治体、そして北近畿タンゴ鉄道などが協議した結果、「上下分離方式」で鉄道を存続することが決定。上下分離方式というのは、線路や駅など、インフラ部分を保有する会社(こちらが「下」)と、実際に列車を運行する会社(こちらが「上」)に分離し、運行会社がインフラ保有会社に使用料を払ってインフラを借り、営業するというものです。

将来的には地域内交通ネットワークの構築も

 運行会社にとっては、定められた使用料を払うことで運行に専念でき、経営改善によって収入が増えればそれが利益となります。また、インフラ保有会社は資産管理に専念することで、計画的な投資を行うことができ、また自治体も計画的に補助を行うことができます。

 北近畿タンゴ鉄道の場合は、同社はインフラ保有会社となり、運行会社を公募することに決定。4社が応募し、その中から都市間高速バスを運行するウィラーアライアンスが選ばれました。4月1日からは、新たに設立されたウィラートレインズ株式会社が「京都丹後鉄道」として同線の運行を担当します。

 ウィラートレインズでは、開業に合わせて様々な施策を実施。例えば、新たに販売される「週末ファミリーパス」は2200円(インターネット割引だと2000円)で大人2名・子供2名の最大4名が1日乗り放題となります。宮津~福知山間は大人片道700円ですから、大人2人分よりも安い料金で、家族4人で出かけることが可能となります。

 さらに、この切符は特急列車にも乗車可能。他にも、お花見シーズンに販売される「お花見フリーきっぷ」や、地元のお祭りに合わせて販売される「お祭りフリーきっぷ」など、思わず列車で出かけたくなる仕掛けがいっぱいです。

 そして、将来的には列車の運行本数増加などに加えて、列車と地元バス会社・タクシー会社、さらにはレンタサイクルなども活用した地域内交通ネットワークの構築や、沿線地域のまちづくり・活性化なども目指しているとのこと。「ピンクのバス」で日本のバス業界を変えた会社が、これからは地域交通や街づくりを変えていくかもしれません。

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最終更新:2015/3/30(月) 18:15
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