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財政再建目標に「債務残高のGDP比」も加える背景は?

2015/4/2(木) 7:00配信

THE PAGE

 政府の財政再建目標に新しい項目が加わりそうです。従来から掲げてきた基礎的財政収支(プライマリーバランス)に加えて、債務残高のGDP比についても併記する方向で調整が行われています。これは何を意味しているのでしょうか。 

 これまで日本政府は、基礎的財政収支について2つの公約を掲げてきました。ひとつは2015年度に基礎的財政収支の赤字を2010年度から半減(GDP比)するというもの。もうひとつは、2020年度に収支を黒字化するというものです。2015年度の赤字半減は目標を達成できますが、2020年度の黒字化については今のところメドが立っていない状況です。

 基礎的財政収支とは、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除いた収支のことを表しています。最終的な収支は国債の利払いと償還を合わせたものになりますが、基礎的財政収支が黒字になっていれば、その年の経費については、その年の税金でカバーできたことを意味しています。

 内閣府による試算では2020年度の基礎的財政収支について9.4兆円の赤字としています。これは経済が順調に回復したと仮定し、さらに消費税10%増税を織り込んだものですから、試算が正しいとすると、消費税をさらに増税しなければ赤字を解消できないことになります。

 こうした内閣府の試算については疑問視する声もあります。内閣府の見通しは、税収をいつも堅めに見る傾向があり、実際には予想よりも税収が増えることが多くなっています。2020年度の収支も、税収が伸びればもう少し改善するのではないかという見方があるほか、GDP成長率に着目する人もいます。試算では2020年に実質で2.2%の成長を達成することを前提としていますが、もっと早い段階から2.5%程度の成長を実現できれば、収支の状況も大きく変わる可能性があるわけです。

 安倍首相は、昨年12月の経済財政諮問会議において、基礎的財政収支だけでなく、債務残高のGDP比についても着目すべきだと発言しています。単に歳出を切り詰めたり、増税をするだけではなく、経済成長による効果をもっと考慮に入れるべきだということでしょう。

 確かに、順調な経済成長であっという間に財政再建を成し遂げたカナダやドイツの例があり、成長による税収増は収支改善の原動力になります。しかし、債務残高のGDP比を財政再建目標に採用するという動きの背景には、公共事業を増やしたいという議員からの働きかけがあったといわれています。

 財政出動を増やせばGDPを増やすことができますし、物価が上昇すれば見かけ上のGDPは増大しますから、債務比率を下げることが可能となります。しかし、思ったように経済を拡大させることができなければ、かえって財政状況を悪化させてしまうリスクもあります。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/5/3(日) 2:42
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