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営業マンも残業代ゼロに? 労働基準法改正の中身とは

2015/4/9(木) 7:00配信

THE PAGE

 働き方や残業代のあり方を変える労働基準法の改正案が3日、閣議決定されました。今国会で成立すれば来年4月に施行されることになります。これまでは、高度人材に限り、残業代を支払わないというホワイトカラー・エグゼンプション制度が議論の中心でした。しかし、今回の改正案では、これに加えて、裁量労働制の範囲拡大が盛り込まれています。ごく普通のサラリーマンにとっては、こちらの方がインパクトが大きそうです。

 ホワイトカラー・エグゼンプションは、金融商品の開発や市場分析、研究開発などの業務を担当する、年収1075万円以上の高度人材が対象となっています。法改正をめぐっては、労働組合などが「残業代ゼロ」法案だとして激しく反発していましたが、現実問題としてこの職種の対象となる人は限定的です。

 しかし、今回の法改正で盛り込まれた裁量労働制の拡大は少し様子が異なります。

 裁量労働制は、みなし労働時間制度の一種で、時間給という考え方をベースにしながら、あらかじめ労働時間を設定し、実際の労働時間にかかわらず賃金を支払うというものです。

 一方、ホワイトカラー・エグゼンプションは、成果と労働時間の関連性が低い職種について、労働基準法における労働時間や残業を適用しないという制度です。実質的に時間給の概念がなくなりますから、仕事の成果によってのみ給料が決まるということになります。

 裁量労働制は、ベースが時間給ですから、理屈の上では、残業代や手当が付くことになります。しかし労働時間はみなしで決められていますから、深夜・休日以外は実際に働いても働かなくても、もらえる残業代は同じになります。

 この制度がうまく機能すれば、労働者は時間に縛られず、自由に働くことができるようになるでしょう。理屈の上では、早く仕事が終われば、早く帰ることも可能となるかもしません。しかし、長時間残業が常態化している職種にこれが適用されてしまうと、制度の導入によって、一方的に残業代が減らされるということにもなりかねません。

 これまで裁量労働制の対象とすることができるのは2つの職種でした。ひとつは「専門型」と呼ばれるもので、デザイナーや研究職などがこれに該当します。もうひとつは「企画型」で調査部門や企画部門などが対象です。

 今回の改正案では、企画部門の対象について提案営業などを行う職種にも拡大します。具体的には、資金調達の支援業務やITシステムの提案営業、保険の提案営業などが想定されているようです。一般的な営業職種などには適用されないといわれていますが、これらの境界線は曖昧です。また年収による要件も設定されない見込みなので、場合によっては幅広い職種に適用されてしまう可能性も残されています。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/13(土) 2:35
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