ここから本文です

イラン核問題 常任理事国でないドイツが発言権を持つ理由

2015/4/14(火) 7:00配信

THE PAGE

 イランと米欧など6カ国は核問題の解決に向けた枠組みについて合意しましたが、イランと交渉にあたったのは、国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた6カ国でした。常任理事国はすべて核保有国であり、ドイツは日本と同様、そのどちらにも該当しません。しかし、イランの核問題ではドイツが交渉メンバーに入っています。これにはどのような理由があるのでしょうか。

 あまり知られていませんが、実はドイツとイランとの間には、密接な経済的・政治的関係があります。イランは、イラン・イスラム革命によって王制が倒れるまで、西側諸国とは友好な関係を築いていました。1950年代、米国の支援によってイランの原子力開発がスタートし、1970年代に入ると、大型原発を建設する計画も立ち上がりました。イランで最初の原子力発電所となったブーシェフル原子力発電所は、当初、ドイツのシーメンス社が設計や建設を請け負っていました。イランの原子力開発にドイツは当初から密接に関わっていたのです。

 ところがイランで革命が勃発。世俗主義的な王制が打倒され、厳格なイスラム主義の国となってしまいます。革命政権の指導者であるホメイニ師は、米国やドイツ主導の原子力開発を批判し、一旦はすべての原子力プロジェクトがストップすることになり、ドイツはイランから撤退してしまいます。その後、イランは独自の核開発を模索するようになり、結果的に西側諸国との対立を招いてしまったわけです。

 原子力プロジェクトからは撤退しましたが、ドイツは非常にしたたかな国ですから、米国と敵対するイランに対しても積極的に貿易を行ってきました。イランは米国から経済制裁を課せられているため、中国やインドなど、西側諸国以外との貿易が活発です。しかし、ドイツは例外で、イランの主要な取引相手のひとつとなっています。最近は制裁の強化で取引が減っていますが、一時は中国に次ぐ、大口の貿易相手国だった時期もあります。

 こうした状況が重なっていることから、ドイツは当初から、イラン核問題の当事者として交渉に参加しています。ちなみに、日本も、西側諸国の方針とは一線を画してイランと積極的に取引してきた国のひとつですが、ドイツのような立ち位置にはなっていません(イランと日本はかつて共同石油開発プロジェクトを行っていました)。ドイツは今や欧州の盟主であり、米国に次いで発言力のある国です。経済的な関わりに加え、国際的な政治力の大きさも、ドイツの交渉参加に大きく影響していると考えられます。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/25(月) 4:47
THE PAGE