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情実人事との声も セブンの世襲とトヨタの世襲、どう違う?

2015/4/24(金) 7:00配信

THE PAGE

 セブン&アイ・ホールディングスの世襲とも取れる役員人事が話題となっています。同社は2日、鈴木敏文会長の次男である鈴木康弘執行役員が取締役に就任すると発表しました。鈴木氏は同社の創業一族ではなく、従業員からトップに就任した、いわゆるサラリーマン社長です。創業者の子息が役員に就任することは珍しくありませんが、サラリーマン社長の子息が役員に就任するのは大手上場企業ではあまり例がありません。

 康弘氏は武蔵工業大学を卒業後、富士通に入社。システムエンジニアとして働いたのちソフトバンクに移籍。電子商取引事業の立ち上げに携わり、2000年にはイー・ショッピング・ブックス(現在はセブン&アイ・ホールディングスに吸収)の社長に就任しています。5月下旬の株主総会を経て正式に就任し、今秋、本格的に開始するネットと実店舗を融合させた「オムニチャネル」事業の責任者として指揮する予定です。

 創業一族は、その会社の株式を大量に保有するオーナーですから、株主総会で役員を選出する権限を持っています。つまり、創業家出身の役員は、権限に基づいて、自分が所有する会社の役員に身内を推薦したという形になるわけです。

 例えば、トヨタ自動車の現社長は豊田章男氏ですが、その名前から分かるようにトヨタ自動車の創業一族出身です。現在でも豊田家は株式の保有を通じてトヨタ・グループ全体に対して発言権を持っています。

 企業の人事は、最終的には出身ではなく、業績を拡大できるのかという点で評価されるべきです。したがって、サラリーマン経営者の子息が、半ば世襲のような形で役員に就任することも一概に批判されるべきことではありません。

 しかし、創業家出身でない経営者の場合、仮に経営に失敗しても、自身の役員報酬が減ったり、役員を辞任するだけですから、自らの懐が大きく痛むことはありません。一方、オーナー経営者の場合、経営に失敗して株価が下がってしまえば、それだけで、何百億、何千億という莫大な個人的損失が発生します。これだけの個人資産を背負っているということになると、いくら子供が可愛くても、情実人事を行うことには躊躇することになり、これが外部に対する一定の説得力となっています。

 鈴木会長も自社株を保有していますが、同社をここまで拡大させた報酬の一環という側面が強く、創業者としての持ち株とは少々意味合いが異なります。今回の人事が情実人事と言われないためには、よりめざましい業績を上げることが必要となるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/13(土) 3:39
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