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アベノミクスで、地域格差は拡大したのか?

2015/5/2(土) 7:00配信

THE PAGE

 アベノミクスで地域格差が拡大しているという新聞記事が話題となっています。安倍政権では地方創生を成長戦略として掲げていますが、果たして本当に地域格差は拡大しているのでしょうか。

安倍政権でジニ係数は7年ぶりの上昇

 毎日新聞が、全国の市区町村の平均所得について調べたところ、安倍政権のスタート以後、ジニ係数が上昇していることが明らかになったということです。ジニ係数とは、分布の偏りを表す指標のひとつで、0から1までの値をとり、1に近いほど所得格差が大きいことを示しています。小泉政権後半の2004年から2006年に大きく上昇したものの、リーマン・ショックを経て2009年には一旦下落。その後、民主党政権下では横ばいが続いていましたが、安倍政権がスタートすると、ジニ係数は7年ぶりの上昇となりました。

 確かに、2010年にはもっとも高い市区町村の平均所得は、もっとも低い市区町村の4.9倍に収まっていました。しかし2013年にはこれが6.5倍に拡大しています。富める地域がより豊かになったことは事実といってよいでしょう。

格差拡大の原因は、多くが株の値上がり益

 ただ、この格差拡大の原因は、記事でも指摘している通り、多くが株式などの値上がり益です。もっとも所得が高いのは東京都港区で2013年は1人あたり約1250万円なのですが、このうち400万円は株式や土地などの譲渡益で占められています。これを除いて計算すると、所得がもっとも低い地域の何倍になるかという数字は、2010年と2013年でほとんど違いがありません。

 一般的に景気がよくなると格差は拡大するといわれています。株式投資や不動産投資をしているのは基本的に富裕層だからです。小泉政権下でも改革への期待から株価が上昇したことで格差が拡大しました。アベノミクスによって株価は急上昇していますから、このような結果になるのは当然かもしれません。

所得再分配はそれなりに機能も限界か?

 ただ、株価の上昇による格差拡大と地域の経済格差の問題は少し分けて考える必要があるでしょう。東京都港区における資産価格上昇分を除いた平均所得は約850万円ですが、もっとも低い地域では約190万円となっています。物価の違いや、所得再分配などによって、現実の格差はもっと小さいはずですが、表面上の稼ぐ力という意味では、これだけの違いがあるわけです。

 ちなみに、日本全体のジニ係数は年々上昇しているものの、累進課税や社会保障など、所得再分配を実施した後のジニ係数はそれほど大きくなっていません。今のところ所得再分配はそれなりに機能しているようですが、このところ日本の貧困率が上昇するなど、その機能はそろそろ限界に近づきつつあります。人口減少も進んでいますから、仕事を見つけにくい地方の人が、さらに稼ぎにくくなってくることは間違いないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/8/13(木) 3:44
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