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TPP交渉で話題に、コメの「ミニマムアクセス」って何?

2015/4/29(水) 7:00配信

THE PAGE

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)をめぐって日米で閣僚協議が行われていましたが、最終的な妥結には至りませんでした。安倍首相とオバマ大統領の首脳会談では、相互に交渉の加速を進めるという形に落ち着いています。今回の協議では、コメの輸入枠拡大を日本側が受け入れるのかについて注目が集まっていましたが、これはどういうことなのでしょうか。

 もともとTPP交渉において、日本側は、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖を「重要5項目」とし、関税撤廃の例外とする方針を掲げてきました。これに対して米国は、原則としてすべての分野における関税撤廃を要求しており、双方とも妥協点を見出すことができず交渉は継続となっていました。

 TPPは基本的に交渉内容が公開されていないので、実際のところどのような話し合いが行われているのか正式に知ることはできません。報道などから交渉内容を推測すると、豚肉や牛肉については関税を引き下げる方向で検討が進められているようですが、聖域であるコメについては関税をできるだけ引き下げないよう交渉しているものと考えられます。

 コメについて米国側は、日本が関税を下げない場合、特別枠の輸入を増やすよう求めています。現在、日本は年間77万トン程のコメを無関税で義務的に輸入しています。これはミニマムアクセスと呼ばれるもので、1993年の通商交渉(ウルグアイ・ラウンド)で合意したものです。当時は今ほどグローバル化が進んでいませんでしたから、100%の自由貿易までは求められておらず、関税以外の輸入障壁(非関税障壁)の撤廃が主な目的とされていました。日本は、コメついては関税化を遅らせる代わりに、一定数量を無関税で輸入することについて受け入れたわけです。

 もっとも、無関税で輸入されたコメをそのまま市場に流通させてしまうとコメの価格が暴落してしまいます。政府は買い取ったコメについて、途上国支援や家畜のエサなど本来とは別のルートでさばいており、その分、政府には損失が発生しています。輸入が始まった1995年から2013年までの累積損失額は2700億円に達します。要するにコメの価格を維持するために、国民がそのお金を負担しているという構図です。

 米国が求めているのは約20万トンの輸入枠拡大です。これに応じれば、市場開放をせずに済むかもしれませんが、国民の経済的な負担は増すことになります。また、米国に対して輸入枠を認めた場合、他国についても同様の措置を受け入れる必要が出てくるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/8(月) 2:54
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