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日本株を買い支え、引き上げる7頭のクジラ。投資家の間にはバブルの懸念も

2015/5/6(水) 7:00配信

THE PAGE

 日経平均株価は4月22日、2000年4月以来、約15年ぶりに終値で2万円台を回復した。市場では株価を買い支え、引き上げている要因に「7頭のクジラ」がいるといわれている。

 7頭とは細かくいうと、日本銀行、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、国家公務員共済組合連合会(KKR)、地方公務員共済、私学共済の巨額な公的マネーである。総資産合計は約800兆円、国債保有額は約500兆円と国債残高の約半分を保有している。

 これらの7頭のクジラたちが東京株式市場で株を買いまくっているというイメージだ。特にGPIF、KKR、地方公務員共済が運用における国内株式の割合を、従来の10%前後から25%にまで引き上げたことが大きく影響している。特にGPIFは5%の資産を入れ替えるだけで5~6兆円前後の資金が動く国内最大のクジラといえる。保有資産の大部分を国債で運用していた日本郵政傘下のゆうちょ銀行とかんぽ生命の存在も大きい。日本郵政は運用資産に占める株式の比率を高めて収益力を強化する方向に舵を切っているからだ。

 これら7頭のクジラが株価を下支えして、市場に下落不安がほぼなくなっているところに海外の投資家による日本株買いが入っており、上値を狙っている。この背景にはアベノミクスの影響で、円安や原油価格の下落で企業業績が上向いていることに加え、春闘の賃上げも順調に達成され、個人投資が上向くことが期待されているからだ。15年前と比べると企業の稼ぐ力は向上しており、企業収益は当時の約2倍になっているという見方もある。

 7頭のクジラの「爆買い」で日経平均は2万円台まで上昇してきたが、市場ではこれらクジラの投資余力はまだ15~20兆円程度はあるとみられており、先高感は根強い。市場関係者の間では、来年の3月末ぐらいまでは株高が続くと見る向きが多い。

 一方で、こうした順調な株高について、個人投資家を中心に「ミニバブルではないか」という懸念もくすぶっている。ただ、バブル期と比べてみると、最近の株式市場全体のPER (Price Earnings Ratio=株価収益率)は16~17倍程度だが、バブル期にはPERは80倍程度もあった。さらに、当時は土地の値段がつり上がることに連動して株価も上昇する「土地バブル」だったといえ、業績悪化企業でさえも、土地さえ持っていれば株価が上がるような市場環境だったことを考えれば、現在の状況がバブルであるとは言えないだろう。

 気になる点があるとすれば、現在のマーケットは「官製相場」の色彩が強く、中小企業への恩恵の広がりが十分ではない点だ。さらに、米国の利上げをめぐる思惑で、日本を含めた世界の株式市場が左右されやすい傾向が出始めている。さらに、ほぼすべての通貨に対してドル高となっている現在の状況を、米国がどこまで容認するのかも気がかりだ。東京株式市場の株高傾向は続くだろうが、米国経済の動向もにらんで、2万円台に乗せた後も神経質な展開は当面続きそうだ。

(3Nアソシエイツ)

最終更新:2016/2/9(火) 3:05
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