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貿易収支が黒字に転換、今後も継続する?

2015/5/5(火) 7:00配信

THE PAGE

 このところ赤字が続いていた貿易収支が黒字に転換しました。これはよいことなのでしょうか。また黒字は今後も継続するのでしょうか。

 財務省が4月22日に発表した3月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2293億円の黒字でした。貿易収支が黒字となるのは、2012年6月以来、2年9カ月ぶりのことです。米国向けの輸出が好調だったことに加え、原油価格の下落によって輸入額が減少しました。

 一般的に、貿易赤字は悪いことであり、何としても輸出を増やして黒字にしなければという議論になりがちです。しかし、貿易収支がその国に与える影響は、経済状態によって異なりますから、必ずしも貿易赤字が悪いこととは限りません。

 日本は戦後、一貫して製造業の輸出で経済を支えてきました。輸出が直接GDPに与える影響は大きくありませんが、輸出増加に伴う工場の設備投資など、内需の拡大に寄与してきたわけです。その意味で、過去の貿易黒字は日本経済の成長に大きく貢献してきたといえるでしょう。日本経済の仕組みは、この輸出モデルを前提に組み立てられていますから、急に赤字に転換することになると、あちこちでその歪みが出てきます。貿易赤字が必ずしもマイナスにはならないと主張する識者の中からも、急激な赤字転換を危惧する声があるのはそのためです。

 しかし一方で、経済が成熟すると、多くの国が貿易赤字体質に転換することはよく知られた事実です。成熟した先進国は、付加価値の低い製品を国内で製造するメリットがありません。これを海外からの輸入に切り換え、自国では付加価値の高い製品やサービスにシフトすることは合理的な選択といえます。日本も長期的にはそのような方向に向かっていると考えられますから、貿易赤字に無理に逆らうことはせず、それに合わせて経済の構造を転換していく必要があるでしょう。

 ただ、目先の動きという点では、貿易赤字が縮小する傾向はしばらく続くと考えられます。かつて全体の35%を占めていたエネルギー関連の輸入が、原油価格の下落によって大幅に減少しているほか、好調な米国経済によって、同国向けの輸出が増えているからです。

 現在、日本は貯蓄率の低下が進み、すでにマイナスとなっていますが、貯蓄率が低下する中、貿易赤字と財政赤字を両立させることは困難です。貿易赤字の進行が小康状態となった今、成熟経済に向けて体質を転換するチャンスが到来したと考えるべきでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/6/5(金) 2:40
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