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離党した比例選出議員を辞職させて良いのか? 品田裕・神戸大学大学院教授

2015/5/9(土) 12:00配信

THE PAGE

 維新の党から除名された上西小百合衆院議員は辞職はしない考えを示した。比例選出の議員が離党した場合は辞職すべきだとの批判は根強い。一方で、国民の代表である国会議員を簡単に辞職させるべきではないという意見もある。辞職させた場合、どのような問題がおこるのか。離党に関する法的規制を強化すべきなのか。政治学者の品田裕(しなだ・ゆたか)神戸大学大学院教授に寄稿してもらった。

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 任期の途中で離党した議員は辞職すべきか。議員は国民全体を代表する選良であると考えれば、その人は素晴らしい判断をできるだろうから、出処進退を含め一任すべきであり、辞職を強いることはできない。しかし、投票してくれた有権者の意向を重視すれば、辞職すべきだ。現代では、制度的にも、実態としても、有権者は政党を選んでいるからである。どちらが正しいのか。

法的規制を強化すべきなのか

 スキャンダルや犯罪行為を理由に政党から追放され、それでもなお議員のいすにこだわる続ける政治家がいる。国民の目は当然、冷たい。そして何とか追放できないかと考え、法的な規制強化を主張する人が出てくる。

 反論もある。選挙で選ばれたこと自体が選良の証しであり、その身分は守られなければならない。そうでないと、いつの日か、独裁者が気に入らない議員に難癖を付けて排除するかもしれないじゃないか。議員の身分の保護は、民主主義を維持する保険料みたいなものだから、大事にしないといけない。

 法的規制の強化には他の理由からの反対もある。現行法では、比例代表選出の議員が離党して他の既成政党への加入することを禁じている(合併・分割で元の党の系譜を引く時を除く)。これは多少とも、有権者の意思である政党への投票を尊重する考え方に基づいたものだ。この現行法以上の規制が必要なのか。3つの視点で考えてみたい。

視点1 離党した議員は、政界再編を促すかもしれない?

 議員の政党間移動を認めた方が政界再編を促進できる。だから妨げるべきでないとする考え方である。確かに現行制度が禁じているのは、引き抜き合戦のような既成政党間の移動(それも比例代表選出の議員)だけだ。無所属になったり選挙後に出来た新党に加入したりすることは可能だ。政界再編につながる動きは制度的に許容されているのである。

 しかし、実態として、現行制度下で政党間移動による政界再編は進んだであろうか。ここ10年を振り返ると、いくつかの議員離党の波がある。1回目は2005年頃の自民党からの郵政造反離党、2回目が2011年から12年にかけて五月雨式に進んだ民主党からの離党と新党結成(新党きずな、国民の生活が第一、みどりの風など)、3回目が2014年のみんなの党の分裂時だ。このうち、多少とも政界再編につながったのは、最後の例だけで、しかも、党を移った議員の数は非常に少ない。自民党からの造反議員の場合、その多くは当選を続けたが、やがて静かに復党している。民主党からの離党議員は、ほとんどその後の総選挙をサバイバルできず、政界再編どころではなかった。つまり現行制度のように政党間を移ることを許容しても、政界再編を起こす効果はほとんどない。

 議員が政党間を移動するのは、基本的に再選可能性を高めるためと考えられる。再選可能性を高めるための行動は直接、政界再編につながるとは限らない。そもそも、離党してでも再選可能性を高めたいとある議員が思うということは、その議員が危機的な状況にあるということの裏返しだ。そんな政治家なら離党したとしても、次の総選挙で勝ち残る可能性は低い。議員の離党を許しても政界再編につながらない。

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最終更新:2016/2/16(火) 4:51
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