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株なのに元本保証? トヨタの種類株が話題に。これってどんな商品?

2015/5/12(火) 7:00配信

THE PAGE

 トヨタ自動車の新しい種類株が個人投資家の間で話題となっています。売却や配当に制限があるものの、5年後にはトヨタに同額で買い取り請求ができるという、事実上の元本保証となっているからです。そもそも、種類株とはどのようなもので、これは投資家にとって「お得」な商品なのでしょうか。

 トヨタ自動車は4月28日、新しい種類株を発行すると発表しました。長期保有の個人投資家を増やすことがその狙いと考えられます。種類株とは普通株とは異なる権利を持つ株式のことを指します。

 普通株は、会社を所有する権利と引き換えにお金を払い込むというもので、株式を所有している投資家は、議決権という形で経営に参画することができ、利益の中から配当をもらう権利があります。しかし、一度払い込んだお金は、会社が解散しない限りは手元に戻ってきません。換金するには市場で第三者に売却する必要があるわけです。これを行っているのが株式市場です。

 もし会社が今後も成長すると思えば、株価はより高い値段で取引されますから、うまくいけば、買った値段よりも高い値段で売却できるかもしれません。普段はあまり意識しませんが、株に投資して儲けるという行為は、会社の経営権を売買するゲームなのです。

 種類株は、配当など株主に帰属する権利が普通株とは異なる特殊な株式です。今回のケースでは、5年間は譲渡や換金ができないといった制限が付けられています。また、配当は支払われますが、初年度は0.5%と低く、翌年度以降、5年目まで0.5%ずつ段階的に増加していく仕組みです。

 一方、5年を過ぎた時点で、投資家は普通株に転換するか、トヨタに同額の買い取りを請求するのか選択が可能です。5年後にトヨタの株が値上がりしていれば利益を得ることができますし、値下がりしていてもトヨタが買い取ってくれますから、同社が倒産しない限り、実質的に元本が保証されるわけです。つまり、配当は低く、途中売却はできないものの、元本が保証され、値上がり益も期待できる商品ということになります。

 途中売却ができないことは機関投資家にとって致命的な欠点となるため、これを購入するのは個人投資家ということになるでしょう。実際トヨタも個人投資家向けであると説明しています。資金に余裕があり、あまりリスクを取りたくない投資家であれば、購入を検討する価値は高いと思われます。

 トヨタにしてみると、5年間売却されないことが分かっている株式を発行できることには大きなメリットがあります。それは株式持ち合いの受け皿になるからです。

 安倍政権はコーポレートガバナンスの強化策を打ち出しており、グループ会社で相互の株式を持ち合う習慣が今後、さらに許容されなくなる可能性が高まっています。グループ会社に代わって、会社に対してあまり文句を言わない安定的な投資家を集めることも、種類株発行の大きな目的のひとつと考えられます。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/8/13(木) 4:34
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