ここから本文です

マネタリーベース300兆円突破をどう見るか

2015/5/13(水) 7:00配信

THE PAGE

 日銀は7日、4月のマネタリーベースが月末残高として初めて300兆円を超えたと発表しました。これは何を意味しているのでしょうか。また量的緩和策の成果についてはどう考えればよいのでしょうか。

 よく知られているように、日銀は2013年4月以降、2%の物価目標を実現するため、国債などの商品を市場から買い取り、大量の資金を供給する量的緩和策を実施してきました。マネタリーベースとは日銀が金融機関に供給するマネーの総量のことですが、量的緩和策が始まる直前には135兆円程度(月間平均残高)であったマネタリーベースが、量的緩和策の開始以後は、年間70兆円以上のペースで増えています。

 しかし、マネタリーベースはあくまでも日銀が金融機関に供給するマネーの総量ですから、実際にマネーが市場に出回らなければ、物価目標の達成は困難です。これを示す指標のひとつにマネーストック(マネーサプライ)と呼ばれるものがあります。マネーストックは、市中に流通するマネーの総量を示していますから、この数値が増加すれば高い確率で物価も上昇してくることになります。

 量的緩和策の開始以降、今年3月までの間にマネーストック(M3、平均残高)は率にして約6%、金額ベースでは68兆円増加しました。また同じ期間で銀行の貸し出しは4.7%増えています。これに対して、マネタリーベースは率にして2.1倍に、金額ベースでは150兆円ほど拡大しています。150兆円の資金を投入して、全体に出回るマネーの金額が68兆円増えたという成果については、量的緩和策が持つ弊害も考え合わせると、評価が分かれるところでしょう。

 量的緩和策を積極的に推進する立場の識者は、さらに追加緩和を行えば、マネーストックや融資残高も増え、物価は上昇すると考えています。一方、量的緩和策に対して懐疑的な識者は、これ以上の緩和を行っても円安が進むだけで、経済的な効果は少ないと考えています。

 最近では、量的緩和策に効果があるのかという議論に加えて、現実的に日銀が購入できる国債には限度があるという指摘も出てきています。確かに銀行や生保といった機関投資家はまだ大量に国債を保有していますが、融資の担保となっていたり、保険の利回り確保のため現実に売却できないものも少なくありません。このまま年間70兆円程度の購入を続けた場合、日銀が買いたくても買う国債がないという状況に陥る可能性があることは否定できません。

 追加緩和を実施する余地はまだ残されていますが、日銀の金融政策に手詰まり感が出てきたことは事実といってよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/6/13(土) 2:42
THE PAGE

Yahoo!ニュースからのお知らせ