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各方面から批判が殺到、シャープの減資ってどんな措置?

2015/5/16(土) 7:00配信

THE PAGE

 経営再建中のシャープが、1億円に減資しようと計画したところ批判が殺到。正式発表直前に5億円への減資に変更するというかなりお粗末な出来事がありました。批判の原因は中小企業としての優遇を受けるという点だったのですが、そもそも減資とは何をすることで、1億円の減資はどこが問題だったのでしょうか。

 シャープの2015年3月期の最終損益は、液晶の主力生産拠点である亀山工場の減損処理などによって2223億円という巨額赤字となりました。同社は、過去3年の間に累積で1兆円近くの損失を出していますから、今回の赤字を加えると1兆2000億円の資本を吹き飛ばした計算になります。

 現在、同社の資本金は約1200億円、資本剰余金は約960億円となっていますが、今回の赤字によって自己資本の多くが消失しました。しかし見かけ上の資本金は減っていませんから、決算書上の数字と実態の乖離が生じています。これを現実の状態に合わせるのが減資と呼ばれる措置で、資本金を減らして損失の穴埋めに回します。通常、減資は、減ってしまった資本を増強するための増資とセットで実施されます。今回のケースでも、金融機関などを引受先とする優先株の発行が行われる予定です。

 会社が完全に破たんした場合は、株主がその損失をすべて被り、100%の減資が行われます。しかしシャープの場合には、まだ完全に破たんしたわけではありませんから、象徴的にごくわずかの株主持ち分を残したものと思われます(減資しただけでは株主の持ち分は減少しませんが、増資とセットになると既存株主の持ち分は希薄化します)。

 しかし、中小企業向けの軽減税率の適用が狙いという話が報道されると、各方面から批判が殺到する事態となってしまいました。慌てたシャープ経営陣は1億円までの減資を取りやめ、最終的には5億円までの減資という形に変更しました。

 確かに1億円以下の中小企業には、税制面での優遇措置があります。しかし、こうした優遇税制は零細企業を想定したものも多く、シャープにとって効果があるのは外形標準課税の適用除外など一部にとどまると考えられます。もし1億円以下の中小企業となれば、おそらく数億円~十数億円程度の税金が優遇されることになりますが、売上高が2兆8000億円という同社の規模を考えれば、メリットはごくわずかでしょう。

 同社は、減資とセットにした優先株の発行で2250億円を調達する予定ですが、このうち2000億円は借り入れの返済に回ってしまいます。したがって、将来の成長のための原資はわずか250億円ということになり、これでは大きな効果は望めません。今回の措置は、とりあえず債務超過を回避しただけであり、経営状況が抜本的に改善されたわけではないと判断するのが妥当です。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/19(金) 4:13
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